ゼロからの高校物理 / 物理 / 運動量

反発係数

要点

床との衝突e = −v′v速度は上を正。大きさで書けば「はね返る速さ ÷ 当たる速さ」です。
2物体の衝突e = −vA′ − vB′vA − vB遠ざかる速さ ÷ 近づく速さです。
反発係数の範囲0 ≦ e ≦ 1e = 1 は弾性衝突、e = 0 は完全非弾性衝突です。
斜めの衝突床に平行な成分は変わらず、垂直な成分が e 倍で逆向きになるなめらかな床のときです。

1床との衝突と反発係数

はね返る速さが当たる速さの何倍かを、反発係数 e といいます。

同じ高さからボールを落としても、はね返る高さはボールによって違います。粘土の玉は、床に当たるとほとんどはね返りません。スーパーボールは、落とした高さの近くまではね返ります。はね返る高さの違いは、床から離れる瞬間の速さの違いから生まれます。速く離れたボールほど、高く上がります。そこで、床に当たる直前の速さと、はね返った直後の速さを比べます。

粘土の玉とスーパーボールを同じ高さから放す絵。粘土の玉は床に当たってつぶれ、はね返らない。スーパーボールは、放した高さの近くまではね返る 同じ高さから放す 粘土の玉 スーパーボール
粘土の玉: 床の上で止まった スーパーボール: いちばん高い所

動きはゆっくり見せています。

はね返った直後の速さが、当たる直前の速さの何倍かを、反発係数といいます。「はね返り係数」とも呼びます。反発係数は、記号 e で表します。たとえば、8.0 m/s で床に当たり、6.0 m/s ではね返ったボールなら、e = 6.0 ÷ 8.0 = 0.75 です。e は速さを速さで割った数なので、単位はありません。

この項目では、上向きを正の向きとします。床に当たる直前の速度を v、はね返った直後の速度を v′ とします。v′ の「′」は「衝突後」の印で、v′ は「ブイ・ダッシュ」と読みます。当たる直前のボールは下へ動いているので、v は負です。上の例では v = −8.0 m/s です。はね返った直後は上へ動くので、v′ は正です。上の例では v′ = +6.0 m/s です。v′ は 0 以上、v は負なので、v′ ÷ v は 0 以下になります。前に − を付けて、0 以上の数にします。

e = −v′v
上の例では、e = −(+6.0) ÷ (−8.0) = 0.75 です。

はね返った後のボールは、床から上向きに投げ上げたのと同じ運動をします。上りは、落下を逆にたどる運動です。静かに放した物体が高さ h だけ落ちたときの速さ v は v2 = 2gh で決まります(g は重力加速度の大きさ 9.8 m/s²)。この関係が、上りにも使えます。だから、はね返った直後の速度 v′ から、上がる高さ h′ が v′2 = 2gh′ で求められます。

落とした高さより高くはね返るボールはありません。だから、はね返る速さは、当たる速さより大きくなりません。e は 0 以上 1 以下の数です。0 ≦ e ≦ 1 と書きます。≦ は「小なりイコール」と読み、「以下」の意味です。

e = 1 の衝突を弾性衝突といいます。当たったときと同じ速さではね返ります。0 < e < 1 の衝突を非弾性衝突といいます。当たったときより遅くはね返ります。e = 0 の衝突を完全非弾性衝突といいます。はね返りません。現実のボールの衝突は、ほとんどが非弾性衝突です。

下の図で、はね返りやすさ e を変えると、はね返る高さがどう変わるかを確かめます。

高さ2.5メートルから静かに放したボールが床ではね返る図。はね返りやすさ e を変えて放すと、当たる直前の速さ、はね返った直後の速さ、はね返った高さを表示する m 床 放した点 2.5 m 上が正 はね返った高さ 当たる直前7.0 m/s はね返った直後

ボールの大きさと空気の抵抗は考えません。e の横の言葉は目安で、床やボールの状態で変わります。

当たる直前の速さ — はね返った直後の速さ — はね返った高さ —

やってみよう

e を変えて「放す」を押し、はね返った高さが、放した高さ 2.5 m の 1/4(0.625 m、表示では 0.63 m)になるボールを探してください。そのときの e と、はね返った直後の速さはいくつですか。

分かること

e = 0.5 で、はね返った直後の速さは 3.5 m/s です。速さが 0.5 倍になると、高さは 0.5 × 0.5 = 0.25 倍(1/4)になります。

確認

上を正の向きにしたとき、床に当たる直前の速度 v は正と負のどちらですか。e = −v′v の前の「−」は何のために付けますか。

答え

負です。「−」は、e を 0 以上の数にするために付けます。

例題

10 m/s で床に当たったボールが、6.0 m/s ではね返りました。ボールと床の間の反発係数を求めなさい。

  1. 上向きを正とすると、当たる直前の速度は v = −10 m/s、はね返った直後の速度は v′ = +6.0 m/s です。
  2. e = −v′v に入れると、e = −(+6.0) ÷ (−10) = 0.6 です。
  3. 与えた数(10、6.0)が 2 桁なので、答えも 2 桁にそろえて 0.60 と書きます。

答え: 0.60

22物体の衝突

2つの物体の衝突では、遠ざかる速さが近づく速さの何倍かが反発係数 e です。運動量保存則と e の式を連立すると、衝突後の速度が求められます。

この項目では、右を正の向きとします。衝突前の速度を vA・vB、衝突後の速度を vA′・vB′ と書きます。右下の A・B は台車の名前で、vA′ は「ブイ・エー・ダッシュ」と読みます。なめらかなレールの上で、質量 2.0 kg の台車 A が +2.0 m/s で進み、止まっている質量 2.0 kg の台車 B に当たります。A が左、B が右です。レールがなめらかなので、水平の向きに外から力ははたらきません。だから、衝突の前後で運動量(質量 × 速度)の和は変わりません。これが運動量保存則で、式では mAvA + mBvB = mAvA′ + mBvB′ と書きます(mA・mB は A・B の質量)。

なめらかなレールの上で、2.0キログラムの台車Aが毎秒2.0メートルで進み、止まっている2.0キログラムの台車Bに当たる絵。衝突後、Aは毎秒0.50メートル、Bは毎秒1.5メートルで右へ進む 右が正 A2.0 kg B2.0 kg +0.50 m/s +1.5 m/s
時刻 t 3.0 s A の速度 +0.50 m/s B の速度 +1.5 m/s 2台の間の距離 2.0 m

時刻は実際の時刻です(1/2 の速さで動きます)。衝突後の速度は、ぶつかる面によって変わります。この絵は、衝突後が +0.50 m/s と +1.5 m/s になる場合です。

衝突前の運動量の和は、2.0 × 2.0 + 2.0 × 0 = 4.0 kg·m/s です。衝突後に「A が +1.0 m/s、B が +1.0 m/s」なら、和は 2.0 × 1.0 + 2.0 × 1.0 = 4.0 kg·m/s です。衝突後に「A が +0.50 m/s、B が +1.5 m/s」でも、和は 2.0 × 0.50 + 2.0 × 1.5 = 4.0 kg·m/s です。どちらも運動量保存則に合います。運動量保存則だけでは、衝突後の速度は1つに決まりません。和が 4.0 kg·m/s になる組は、ほかにもいくらでもあります。どの組になるかは、ぶつかる面のはね返りやすさで決まります。そこで、2物体の衝突にも反発係数を使います。

衝突前、A は B に、1 s に 2.0 m ずつ近づいています。この 2.0 m/s を「近づく速さ」と呼びます。近づく速さは、vA − vB = 2.0 − 0 = 2.0 m/s と、速度の差で表せます。B が動いているときも同じです。A が +3.0 m/s、B が +1.0 m/s なら、近づく速さは 3.0 − 1.0 = 2.0 m/s です。この場面では A が B の左にあり、A が B に近づいているので、vA − vB は正です。

衝突後に「A が +0.50 m/s、B が +1.5 m/s」なら、B が前を進むので、2台は 1 s に 1.0 m ずつ離れていきます。この 1.0 m/s を「遠ざかる速さ」と呼びます。遠ざかる速さは、vB′ − vA′ = 1.5 − 0.50 = 1.0 m/s です。衝突前と同じ順(A − B)で書くと vA′ − vB′ = −1.0 m/s と負になるので、前に − を付けて −(vA′ − vB′) と書きます。

遠ざかる速さが、近づく速さの何倍かを、2物体の反発係数 e とします。

e = −vA′ − vB′vA − vB
分子と分母は、どちらも A − B の順に書きます。

上の2つの場合で計算すると、「+1.0 と +1.0」では e = −(1.0 − 1.0) ÷ 2.0 = 0、「+0.50 と +1.5」では e = −(0.50 − 1.5) ÷ 2.0 = 0.50 です。床との衝突の式 e = −v′v は、B を動かない床(vB = 0、vB′ = 0)とした場合です。

衝突後の速度は、次の手順で求めます。

  1. 右を正の向きと決め、どの速度にも符号を付けます。
  2. 運動量保存則の式を書きます。
  3. 反発係数の式を書きます。
  4. 2つの式を連立して、vA′ と vB′ を求めます。

知りたい速度が2つあるので、式も2つ要ります。

下の図で、B の質量とぶつかる面に付けるものを変えると、衝突後の2台の動きがどう変わるかを確かめます。

なめらかなレールの上で、1.0キログラムの台車Aが毎秒4.0メートルで、止まっている台車Bに当たる図。Bの質量と、ぶつかる面に付けるもの(反発係数)を変えて走らせると、衝突後の2台の速度と遠ざかる速さを表示する 右が正 なめらかなレール A 1.0 kg ばね vA 止まっている B 2.0 kg vB 止まっている

レールはなめらかです。衝突前、A は +4.0 m/s、B は止まっているので、近づく速さはいつも 4.0 m/s です。

衝突後の A の速度 vA′ — 衝突後の B の速度 vB′ — 遠ざかる速さ vB′ − vA′ —

やってみよう

(1) 「ばね(e = 1.0)」のボタンを押し、B の質量のボタン「1.0 kg」「2.0 kg」「3.0 kg」を順に押して、そのたびに「走らせる」を押してください。衝突後に A がぴたりと止まるのは、B が何 kg のときですか。そのとき B の速度はいくつですか。(2) B の質量の「1.0 kg」のボタンを押してから、「ゴム(e = 0.5)」「粘土(e = 0)」のボタンを順に押し、そのたびに「走らせる」を押してください。遠ざかる速さはいくつになりますか。

分かること

(1) B が 1.0 kg(A と同じ質量)のときで、B の速度は +4.0 m/s です。A の衝突前の速度が、そのまま B に移ります。(2) ゴムで 2.0 m/s、粘土で 0.0 m/s です。近づく速さ 4.0 m/s の 0.5 倍と 0 倍で、e の値と同じです。

確認

上の図で、ぶつかる面を「ゴム(e = 0.5)」にして、B の質量のボタンを押し替えると、遠ざかる速さは変わりますか。

答え

変わりません。近づく速さが 4.0 m/s のままなので、いつも 0.5 倍の 2.0 m/s です。

例題

なめらかなレールの上で、質量 3.0 kg の台車 A が +5.0 m/s で進み、止まっている質量 2.0 kg の台車 B に当たりました。A と B の間の反発係数は 0.50 です。衝突後の A と B の速度を求めなさい。

  1. 右を正とします。衝突前は vA = +5.0 m/s、vB = 0 です。
  2. 運動量保存則から、3.0 × 5.0 + 2.0 × 0 = 3.0 × vA′ + 2.0 × vB′ なので、15 = 3.0vA′ + 2.0vB′ です。
  3. 反発係数の式から、0.50 = −(vA′ − vB′) ÷ (5.0 − 0) なので、vB′ − vA′ = 0.50 × 5.0 = 2.5 です。
  4. 3 の式から vB′ = vA′ + 2.5 です。これを 2 の式に入れると、15 = 3.0vA′ + 2.0 × (vA′ + 2.5) = 5.0vA′ + 5.0 です。
  5. 5.0vA′ = 10 なので、vA′ = +2.0 m/s です。vB′ = 2.0 + 2.5 = +4.5 m/s です。

答え: A は +2.0 m/s(右向きに 2.0 m/s)、B は +4.5 m/s(右向きに 4.5 m/s)

3斜めの衝突

なめらかな床に斜めに当たるときは、床に平行な成分は変わらず、床に垂直な成分だけが e 倍になって逆向きになります。

この項目では、床に平行な右向きを x の正、床に垂直な上向きを y の正とします。斜めに動くボールの速度は、x の向きの部分(x 成分)と y の向きの部分(y 成分)に分けて考えます。たとえば x 成分が +3.0 m/s なら、ボールは 1 s に右へ 3.0 m ずつ進みます。y 成分が −4.0 m/s なら、1 s に下へ 4.0 m ずつ進みます。

なめらかな床は、ボールを床に垂直な向き(上向き)にしか押しません。床に平行な向きの力(摩擦力)は、はたらきません。衝突の間、ボールが床から受ける力は上向きだけです。重力も下向きにはたらきますが、どちらの力にも床に平行な(x の向きの)成分はありません。

x の向きには力がはたらかないので、速度の x 成分は衝突の前後で変わりません。

y の向きの動きは、項目1 の床との衝突と同じです。ボールは床に当たって、はね返るからです。当たる直前の y 成分を vy、はね返った直後の y 成分を vy′ とすると、e = −vy′vy です。だから、vy′ = −e × vy です。y 成分は、大きさが e 倍になり、向きが逆になります。

速さ 5.0 m/s のボールが、速度の x 成分 +3.0 m/s、y 成分 −4.0 m/s で、なめらかな床に当たるとします。床との反発係数は 0.50 です。x 成分は変わらないので、はね返った直後も +3.0 m/s です。y 成分は、vy′ = −0.50 × (−4.0) = +2.0 m/s です。

当たる直前はね返った直後
x 成分(m/s)+3.0+3.0
y 成分(m/s)−4.0+2.0
なめらかな床に、x成分 +3.0、y成分 −4.0 メートル毎秒で当たったボールが、x成分 +3.0、y成分 +2.0 メートル毎秒ではね返る図 x y なめらかな床 x 成分 +3.0 m/s y 成分−4.0 m/s 速さ 5.0 m/s 当たる直前 x 成分 +3.0 m/s y 成分+2.0 m/s はね返った直後

床はなめらかで、反発係数は 0.50 です。破線の矢印は速度の成分です。

確認

なめらかな床では、床に平行な速度の成分が変わらないのはなぜですか。

答え

床に平行な向きには、力がはたらかないからです。

例題

速度の x 成分 +3.0 m/s、y 成分 −4.0 m/s で、なめらかな床に当たったボールが、x 成分 +3.0 m/s、y 成分 +2.0 m/s ではね返りました(上の図のボール)。はね返った直後の速さを求めなさい。

  1. 速さは、x 成分と y 成分を2辺とする直角三角形の斜辺の長さなので、三平方の定理で求めます。
  2. 速さ = √3.02 + 2.02 = √13 = 3.60… m/s です。
  3. 2 桁に丸めて、≒ 3.6 m/s です。

答え: 3.6 m/s

4衝突で失われる運動エネルギー

e が 1 より小さい衝突では、衝突の後に運動エネルギーの和が減ります。

この項目では、右を正の向きとします。項目2 の図と同じ場面を考えます。なめらかなレールの上で、質量 1.0 kg の台車 A が +4.0 m/s で進み、止まっている質量 1.0 kg の台車 B に当たります。衝突前の運動エネルギーの和は、12 × 1.0 × 4.02 + 0 = 8.0 J です。運動エネルギー K = 12mv2 は、速度の2乗を使うので、向きによらず 0 以上です。

なめらかなレールの上で、1.0キログラムの台車Aが毎秒4.0メートルで、止まっている1.0キログラムの台車Bに向かう絵を3段に並べたもの。Aの前の面には、上からばね、ゴム、粘土が付いている ばねゴム粘土 A 1.0 kgB 1.0 kg AB AB 止まっている止まっている止まっている +4.0 m/s+4.0 m/s+4.0 m/s

運動量保存則と反発係数の式から、e = 1.0、0.50、0 のときの衝突後の速度を求め、運動エネルギーの和を計算すると、次の表のようになります。

反発係数 e1.00.500
衝突後の A の速度(m/s)0+1.0+2.0
衝突後の B の速度(m/s)+4.0+3.0+2.0
衝突後の運動量の和(kg·m/s)4.04.04.0
衝突後の運動エネルギーの和(J)8.05.04.0

たとえば e = 0.50 の列では、12 × 1.0 × 1.02 + 12 × 1.0 × 3.02 = 0.50 + 4.5 = 5.0 J です。どの列も、運動量の和は衝突前と同じ 4.0 kg·m/s です。

e = 1.0 では、運動エネルギーの和は 8.0 J のままです。e = 0.50 では 8.0 − 5.0 = 3.0 J、e = 0 では 8.0 − 4.0 = 4.0 J 減りました。衝突前の和から衝突後の和を引いた分を、失われた運動エネルギーといいます。失われた運動エネルギーは、なくなったのではなく、衝突のときの音や熱、物体の変形に使われています。e が小さいほど、失われる運動エネルギーは大きくなります。

1.0キログラムの台車Aが毎秒4.0メートルで止まっている1.0キログラムの台車Bに当たるとき、衝突前と、反発係数1.0、0.50、0のときの衝突後の、運動エネルギーの和を比べる棒グラフ 運動エネルギー K [J] A 8.0 J B 8.0 J A B 5.0 J A B 4.0 J 衝突前の和 8.0 J 衝突前 ばね(e = 1.0) ゴム(e = 0.50) 粘土(e = 0)

塗りつぶした段が A、薄く塗って枠を付けた段が B の運動エネルギーです。点線は衝突前の和 8.0 J です。

確認

反発係数が 0.75 の衝突では、衝突の前と後で、運動エネルギーの和は変わりますか。

答え

減ります。運動エネルギーの和が変わらないのは e = 1 のときだけです。

例題

なめらかなレールの上で、質量 4.0 kg の台車 A が +3.0 m/s で進み、止まっている質量 2.0 kg の台車 B に当たってくっつきました。この衝突で失われた運動エネルギーを求めなさい。

  1. 右を正とします。くっついた後の速度を v′ とすると、運動量保存則から 4.0 × 3.0 + 2.0 × 0 = (4.0 + 2.0) × v′ です。
  2. 12 = 6.0v′ なので、v′ = +2.0 m/s です。
  3. 衝突前の運動エネルギーの和は、12 × 4.0 × 3.02 + 0 = 18 J です。
  4. 衝突後の運動エネルギーの和は、12 × (4.0 + 2.0) × 2.02 = 12 J です。
  5. 失われた運動エネルギーは、18 − 12 = 6.0 J です。

答え: 6.0 J

練習問題

重力加速度の大きさは 9.8 m/s² とし、空気の抵抗は考えません。床やレールは、どれもなめらか(摩擦がない)とします。速度は右(2物体の衝突)または上(床との衝突)を正とします。

パターン1 床との衝突

問1床から高さ 2.5 m の所から、ボールを静かに放しました。ボールと床の間の反発係数は 0.60 です。はね返った直後の速さと、はね返った後に上がる高さを求めなさい。

答えを見る

はね返った直後の速さ 4.2 m/s、上がる高さ 0.90 m

床に当たる直前の速さを v とすると、v2 = 2 × 9.8 × 2.5 = 49 なので、v = 7.0 m/s。はね返った直後の速さは 0.60 × 7.0 = 4.2 m/s。上がる高さを h′ とすると、4.22 = 2 × 9.8 × h′ なので、h′ = 17.64 ÷ 19.6 = 0.90 m

問2床から高さ 1.6 m の所から、ボールを静かに放しました。ボールと床の間の反発係数は 0.50 です。ボールが床で2回はね返った後に上がる高さを求めなさい。

答えを見る

0.10 m

1回目に当たる直前の速さは、v2 = 2 × 9.8 × 1.6 = 31.36 から 5.6 m/s。1回目にはね返った直後は 0.50 × 5.6 = 2.8 m/s。ボールは同じ速さ 2.8 m/s で床に戻ってくる(上がって落ちるとき、同じ高さでは速さが同じ)。2回目にはね返った直後は 0.50 × 2.8 = 1.4 m/s。上がる高さを h′ とすると、1.42 = 2 × 9.8 × h′ なので、h′ = 1.96 ÷ 19.6 = 0.10 m

パターン2 2物体の衝突

問3なめらかなレールの上で、質量 1.0 kg の台車 A が +4.0 m/s で進み、止まっている質量 2.0 kg の台車 B に当たりました。A と B の間の反発係数は 0.50 です。衝突後の A と B の速度を求めなさい。

答えを見る

A は 0 m/s(止まる)、B は +2.0 m/s(右向きに 2.0 m/s)

運動量保存則から、1.0 × 4.0 + 2.0 × 0 = 1.0 × vA′ + 2.0 × vB′ なので、4.0 = vA′ + 2.0vB′。反発係数の式から、0.50 = −(vA′ − vB′) ÷ (4.0 − 0) なので、vB′ − vA′ = 0.50 × 4.0 = 2.0、vB′ = vA′ + 2.0。代入して 4.0 = vA′ + 2.0 × (vA′ + 2.0) = 3.0vA′ + 4.0。3.0vA′ = 0 なので vA′ = 0 m/s。vB′ = 0 + 2.0 = +2.0 m/s

弾性衝突でなくても、質量と e の組み合わせによっては A が止まります。

問4なめらかなレールの上で、右へ 5.0 m/s で進む質量 1.0 kg の台車 A と、左へ 1.0 m/s で進む質量 2.0 kg の台車 B が、正面からぶつかりました。A と B の間の反発係数は 0.50 です。衝突後の A と B の速度を求めなさい。

答えを見る

A は −1.0 m/s(左向きに 1.0 m/s)、B は +2.0 m/s(右向きに 2.0 m/s)

右を正とすると、vA = +5.0 m/s、vB = −1.0 m/s。運動量保存則から、1.0 × 5.0 + 2.0 × (−1.0) = 1.0 × vA′ + 2.0 × vB′ なので、3.0 = vA′ + 2.0vB′。近づく速さは vA − vB = 5.0 − (−1.0) = 6.0 m/s。反発係数の式から、0.50 = −(vA′ − vB′) ÷ 6.0 なので、vB′ − vA′ = 3.0、vB′ = vA′ + 3.0。代入して 3.0 = vA′ + 2.0 × (vA′ + 3.0) = 3.0vA′ + 6.0。3.0vA′ = −3.0 なので vA′ = −1.0 m/s。vB′ = −1.0 + 3.0 = +2.0 m/s。2台とも、衝突前と逆向きに動く

パターン3 斜めの衝突とエネルギーの損失

問5速度の x 成分 +4.0 m/s、y 成分 −6.0 m/s で、ボールがなめらかな床に当たりました。x は床に平行な右向き、y は床に垂直な上向きを正とします。ボールと床の間の反発係数は 0.50 です。はね返った直後の速度の x 成分・y 成分と、速さを求めなさい。

答えを見る

x 成分 +4.0 m/s、y 成分 +3.0 m/s、速さ 5.0 m/s

床はなめらかなので、x の向きに力ははたらかず、x 成分は +4.0 m/s のまま。y 成分は vy′ = −0.50 × (−6.0) = +3.0 m/s。速さは √4.02 + 3.02 = √25 = 5.0 m/s

問6なめらかなレールの上で、質量 2.0 kg の台車 A が +6.0 m/s で進み、止まっている質量 1.0 kg の台車 B に当たりました。A と B の間の反発係数は 0.50 です。この衝突で失われた運動エネルギーを求めなさい。

答えを見る

9.0 J

運動量保存則から、2.0 × 6.0 + 1.0 × 0 = 2.0 × vA′ + 1.0 × vB′ なので、12 = 2.0vA′ + vB′。反発係数の式から、0.50 = −(vA′ − vB′) ÷ 6.0 なので、vB′ = vA′ + 3.0。代入して 12 = 2.0vA′ + vA′ + 3.0 = 3.0vA′ + 3.0。vA′ = +3.0 m/s、vB′ = +6.0 m/s。衝突前の運動エネルギーの和は 12 × 2.0 × 6.02 = 36 J。衝突後は 12 × 2.0 × 3.02 + 12 × 1.0 × 6.02 = 9.0 + 18 = 27 J。失われた運動エネルギーは 36 − 27 = 9.0 J

つまずきやすいところ

まとめ

要点

床との衝突e = −v′v速度は上を正。大きさで書けば「はね返る速さ ÷ 当たる速さ」です。
2物体の衝突e = −vA′ − vB′vA − vB遠ざかる速さ ÷ 近づく速さです。
反発係数の範囲0 ≦ e ≦ 1e = 1 は弾性衝突、e = 0 は完全非弾性衝突です。
斜めの衝突床に平行な成分は変わらず、垂直な成分が e 倍で逆向きになるなめらかな床のときです。

物理 第3章 運動量

  1. 運動量と力積
  2. 運動量保存則
  3. 反発係数
  4. 運動量とエネルギーの応用

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