公式
1行目は速度が一定のとき、2〜4行目は等加速度直線運動(加速度が一定)のとき
正の向きを決め、分かっている量を書き出してから、式を選びます。
このページでは、式を2つ続けて使う問題や、運動が途中で変わる問題を解きます。どの問題も、次の4つの手順で解きます。
加速度が一定のとき(等加速度直線運動)は、次の3つの式が使えます。どの式も、5つの量のうち1つだけが入っていません。手順3では、この表を使います。
| 式 | 入っていない量 |
|---|---|
| v = v0 + at | x |
| x = v0t + 12at2 | v |
| v2 − v02 = 2ax | t |
速度が一定のとき(加速度が 0 のとき)は、等速直線運動の x = vt(進んだ距離 = 速度 × 時間)を使います。
上の表の3つの式には、どれも加速度 a が入っています。そのため、a が分かってもいないし、聞かれてもいない問題では、表から式を1つに決められません。そのときは、先に a を求めます。a を求めるときも、手順3と同じやり方で式を選びます。それから、a を使って、聞かれている量を求めます。2つの量が分からないときは、v-t グラフ(横軸に時刻 t、縦軸に速度 v をとったグラフ)と横軸の間の面積も使えます。この面積は、変位(位置の変化)を表します。
確認
初速度 v0、時間 t、進んだ距離 x が分かっていて、速度 v を聞かれました。1つの式だけで v を求められますか。
求められません。分かってもいない、聞かれてもいない量が a で、表の式にはどれも a が入っているからです。
例題
右向きに 10 m/s で走る自転車がブレーキをかけ、一定の加速度で遅くなって、25 m 進んで止まりました。ブレーキをかけてから止まるまでの時間を求めなさい。
| v0 | v | a | t | x |
|---|---|---|---|---|
| +10 m/s | 0 | 分からない | ? | +25 m |
答え: 5.0 s
運動が途中で変わるときは、区間に分け、区間ごとの変位を足します。
電車が駅を出て、次の駅で止まるまでを考えます。電車が進む向きを正の向き、出発した駅を原点、駅を出た時刻を 0 とします。電車は、0 〜 10 s で速くなって 20 m/s になります。10 〜 30 s は、20 m/s のまま走ります。30 〜 40 s で遅くなって、次の駅に止まります。
時刻は実際の時刻です(4 倍の速さで動きます)。
この運動の v-t グラフは、下の図のような台形になります。グラフは (0, 0) → (10 s, 20 m/s) → (30 s, 20 m/s) → (40 s, 0) の折れ線です。たとえば点(10 s, 20 m/s)は、「10 s 後に、正の向きに 20 m/s で進んでいる」という意味です。
この電車は、10 s と 30 s で、速度の変わり方が変わります。加速度が一定なのは、0 〜 10 s、10 〜 30 s、30 〜 40 s のそれぞれの区間の中だけです。だから、0 〜 40 s の全体に、1本の式を使うことはできません。たとえば、0 〜 10 s の加速度 +2.0 m/s² のまま 40 s 後の速度を v = v0 + at で求めると、v = 0 + 2.0 × 40 = 80 m/s になってしまいます。実際の 40 s 後の速度は 0 です。そこで、運動を3つの区間に分けて考えます。
区間ごとに、加速度 a = Δv / Δt を求めます。Δ(デルタ)は「変化」を表し、Δv は速度の変化、Δt はかかった時間です。
| 区間 | 速度の変化 Δv | かかった時間 Δt | 加速度 a |
|---|---|---|---|
| 加速(0 〜 10 s) | 0 → 20 m/s で +20 m/s | 10 s | +2.0 m/s² |
| 等速(10 〜 30 s) | 20 → 20 m/s で 0 | 20 s | 0 |
| 減速(30 〜 40 s) | 20 → 0 で −20 m/s | 10 s | −2.0 m/s² |
10 s のときの 20 m/s は、加速の区間の終わりの速度で、等速の区間の始まりの速度でもあります。区間の境目で、速度はつながっています。
v-t グラフと横軸の間の面積が変位です。区間ごとに、面積を求めます。加速の区間は、底辺 10 s、高さ 20 m/s の三角形で、面積は 12 × 10 × 20 = 100 です。変位は +100 m です。等速の区間は、横 20 s、高さ 20 m/s の長方形で、面積は 20 × 20 = 400 です。変位は +400 m です。減速の区間は、底辺 10 s、高さ 20 m/s の三角形で、面積は 12 × 10 × 20 = 100 です。変位は +100 m です。
加速の区間は、止まっていた電車が、加速度 +2.0 m/s² で 10 s 進む運動です。位置の式で求めると、x = v0t + 12at2 = 0 × 10 + 12 × 2.0 × 102 = 100 m で、面積と同じです。
3つの区間の変位を足すと、100 + 400 + 100 = 600 m です。電車はずっと正の向きに進んだので、駅から駅までの距離は 600 m です。
塗った部分の面積が、0 〜 t の変位です。
やってみよう
時刻 t を 30.0 s にしてから、35.0 s へ、次に 40.0 s へ動かしてください。同じ 5 s でも、変位の増え方は同じですか。それぞれ何 m 増えますか。
30.0 s から 35.0 s では 75.0 m、35.0 s から 40.0 s では 25.0 m 増えます。遅くなるほど、同じ 5 s で塗られる面積が小さくなります。
確認
電車が等速で走っている区間(10 〜 30 s)の加速度は、いくつですか。
0 m/s² です。速度が 20 m/s のまま変わらないからです。
例題
止まっていた自転車が、一定の加速度で速くなり、5.0 s で 8.0 m/s になりました。その速さのまま 6.0 s 進み、そのあと一定の加速度で遅くなって、4.0 s で止まりました。動き出してから止まるまでに進んだ距離を求めなさい。
答え: 84 m
自動車の停止距離は、等速で進む空走距離と、等加速度で遅くなる制動距離の2つの区間に分けて求めます。
自動車を運転する人が、前に何かを見つけて、ブレーキの必要に気づいたとします。気づいた所から、自動車が止まるまでに進む距離を停止距離といいます。停止距離は、次の2つの区間に分けて考えます。
運転する人が気づいてから、ブレーキを踏み、ブレーキが効き始めるまでには、少し時間がかかります。この時間を反応時間といいます。この項目では、反応時間を 1.0 s とします。
反応時間の間は、ブレーキがまだ効いていません。だから自動車は、気づいたときと同じ速度のまま進みます。等速直線運動です。反応時間の間に進む距離を空走距離といいます。等速なので、x = vt で求めます。たとえば 10 m/s で走っているなら、空走距離は 10 × 1.0 = 10 m です。
ブレーキが効き始めてから、自動車が止まるまでに進む距離を制動距離といいます。この間、自動車は一定の加速度で遅くなります。等加速度直線運動です。この項目では、ブレーキが効いている間の加速度を −5.0 m/s² とします(進む向きが正)。
制動距離を式で求めるときは、ブレーキが効き始めた所を原点、そのときを時刻 0 にし直します。v0 は、ブレーキが効き始めたときの速度です。空走の間は速度が変わらないので、気づいたときの速度と同じです。
止まるので、v = 0 です。時間は分かっておらず、聞かれてもいないので、t が入っていない v2 − v02 = 2ax を使います。10 m/s のときは、02 − 102 = 2 × (−5.0) × x なので、−100 = −10x です。x = (−100) ÷ (−10) = 10 m で、制動距離は 10 m です。
停止距離は、空走距離と制動距離の和です。10 m/s のときは、10 + 10 = 20 m です。
気づいたときの速度を 10、20、30 m/s と変えて、同じように求めると、次の表のようになります。
| 気づいたときの速度 v0(m/s) | 10 | 20 | 30 |
|---|---|---|---|
| 空走距離(m) | 10 | 20 | 30 |
| 制動距離(m) | 10 | 40 | 90 |
| 停止距離(m) | 20 | 60 | 120 |
速度が 10 m/s から 20 m/s へ 2 倍になると、空走距離は 10 m から 20 m へ 2 倍になります。空走距離は v0 × 1.0 なので、速度と同じ倍率で増えます。
制動距離は、10 m から 40 m へ 4 倍になります。制動距離は、0 − v02 = 2 × (−5.0) × x から、x = v02 ÷ 10 です。v0 が 2 倍になると、v02 は 2 × 2 = 4 倍になるので、制動距離も 4 倍になります。速度が 3 倍の 30 m/s なら、制動距離は 3 × 3 = 9 倍の 90 m です。
やってみよう
気づいたときの速度 v0 を +15.0 m/s にしてから、+30.0 m/s へ変えてください。空走距離と制動距離は、それぞれ何倍になりましたか。
空走距離は 15.0 m から 30.0 m で 2 倍、制動距離は 22.5 m から 90.0 m で 4 倍になりました。
確認
運転する人がブレーキの必要に気づいてから、ブレーキが効き始めるまでの間、自動車の速度は変わりますか。
変わりません。ブレーキがまだ効いていないからです。
例題
自動車が 72 km/h で走っているときに、運転する人がブレーキの必要に気づきました。反応時間は 1.0 s、ブレーキが効いている間の加速度は −5.0 m/s²(進む向きが正)です。停止距離を求めなさい。
答え: 60 m
どの問題も一直線上の運動で、物体が進む向きを正の向きとします。加速度は、運動が変わらない区間の中では一定とします。
問1電車が一直線上を動いたときの v-t グラフは、図のような折れ線でした。(1) 0 〜 4.0 s、4.0 〜 10 s、10 〜 12 s の、それぞれの加速度を求めなさい。(2) 0 〜 12 s の変位を求めなさい。
(1) 0 〜 4.0 s は +2.0 m/s²、4.0 〜 10 s は 0 m/s²、10 〜 12 s は −4.0 m/s² (2) +72 m
(1) 0 〜 4.0 s は a = (8.0 − 0) ÷ 4.0 = 2.0 m/s²。4.0 〜 10 s は速度が変わらないので 0 m/s²。10 〜 12 s は a = (0 − 8.0) ÷ 2.0 = −4.0 m/s²。(2) 区間ごとの面積は、三角形 12 × 4.0 × 8.0 = 16、長方形 6.0 × 8.0 = 48、三角形 12 × 2.0 × 8.0 = 8.0。合わせて 16 + 48 + 8.0 = 72 なので、変位は +72 m
問2止まっていた自転車が、加速度 +1.5 m/s² で 4.0 s 速くなりました。そのあと、その速さのまま 10 s 進み、最後に一定の加速度で遅くなって、3.0 s で止まりました。自転車が動き出してから止まるまでに進んだ距離を求めなさい。
81 m
加速の区間の終わりの速度は、v = v0 + at = 0 + 1.5 × 4.0 = 6.0 m/s。これが等速の区間の速度で、減速の区間の始まりの速度でもある。v-t グラフは (0, 0) → (4.0 s, 6.0 m/s) → (14 s, 6.0 m/s) → (17 s, 0) の台形。加速の区間は 12 × 4.0 × 6.0 = 12、等速の区間は 10 × 6.0 = 60、減速の区間は 12 × 3.0 × 6.0 = 9.0。合わせて 12 + 60 + 9.0 = 81 なので、81 m。区間の境目の速度(6.0 m/s)を先に求めるのがポイント
問3自動車が 90.0 km/h で走っているときに、運転する人がブレーキの必要に気づきました。反応時間は 1.00 s、ブレーキが効いている間の加速度は −5.00 m/s² です。空走距離、制動距離、停止距離をそれぞれ求めなさい。
空走距離 25.0 m、制動距離 62.5 m、停止距離 87.5 m
90.0 km/h = 90.0 ÷ 3.6 m/s = 25.0 m/s。空走距離は x = vt で 25.0 × 1.00 = 25.0 m。制動距離は、ブレーキが効き始めた所を原点にして、v2 − v02 = 2ax に v = 0、v0 = 25.0 m/s、a = −5.00 m/s² を入れる。02 − 25.02 = 2 × (−5.00) × x なので、−625 = −10.0x、x = (−625) ÷ (−10.0) = 62.5 m。停止距離は 25.0 + 62.5 = 87.5 m
問4自動車が 54 km/h で走っているときに、運転する人がブレーキの必要に気づきました。反応時間は 0.80 s で、気づいてから止まるまでに 27 m 進みました。ブレーキが効いている間の加速度を求めなさい。加速度は一定とします。
−7.5 m/s²
54 km/h = 54 ÷ 3.6 m/s = 15 m/s。空走距離は 15 × 0.80 = 12 m。27 m は停止距離なので、制動距離は 27 − 12 = 15 m。ブレーキが効き始めた所を原点にして、v2 − v02 = 2ax に v = 0、v0 = 15 m/s、x = 15 m を入れる。02 − 152 = 2 × a × 15 なので、−225 = 30a、a = (−225) ÷ 30 = −7.5 m/s²。27 m をそのまま制動距離として使わないこと。マイナスなので、進みながら遅くなった
問5右向きに 4.0 m/s で進んでいた自転車が、一定の加速度で速くなり、6.0 s 後に速度が +10 m/s になりました。この 6.0 s の間に進んだ距離を求めなさい。
42 m
速くなり始めた所を原点とする。分かっている量は v0 = +4.0 m/s、v = +10 m/s、t = 6.0 s、求める量は x。分かってもいない、聞かれてもいない量は a なので、先に a を求める。v = v0 + at から 10 = 4.0 + a × 6.0、a = (10 − 4.0) ÷ 6.0 = 1.0 m/s²。次に x = v0t + 12at2 = 4.0 × 6.0 + 12 × 1.0 × 6.02 = 24 + 18 = 42 m。右へ進み続けたので、進んだ距離は 42 m
問6右向きに進んでいた自転車がブレーキをかけ、一定の加速度で遅くなって、2.0 s で止まりました。ブレーキをかけてから止まるまでに、9.0 m 進みました。ブレーキをかける前の速さと、ブレーキ中の加速度を求めなさい。(ヒント: v-t グラフをかいて考えましょう。)
速さ 9.0 m/s、加速度 −4.5 m/s²
ブレーキをかけた所を原点とする。分かっている量は v = 0、t = 2.0 s、x = +9.0 m。v0 と a の2つが分からないので、v-t グラフを使う。v-t グラフは、v0 から 2.0 s で 0 まで下がる直線で、横軸との間は底辺 2.0 s、高さ v0 の三角形。面積が変位なので、12 × 2.0 × v0 = 9.0、v0 = 9.0 m/s。次に v = v0 + at に入れて 0 = 9.0 + a × 2.0、a = (−9.0) ÷ 2.0 = −4.5 m/s²。(確かめ: x = 9.0 × 2.0 + 12 × (−4.5) × 2.02 = 18 − 9.0 = 9.0 m で合う)
公式
1行目は速度が一定のとき、2〜4行目は等加速度直線運動(加速度が一定)のとき
物理基礎 第1章 運動の表し方