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熱と温度

公式

絶対温度T = t + 273t はセルシウス温度(℃)、T は絶対温度(K)です。
熱容量Q = CΔTQ は熱量(J)、C は熱容量(J/K)、ΔT は温度の変化(K)です。
比熱Q = mcΔTm は質量(g)、c は比熱(J/(g·K))です。
熱容量と比熱C = mc

1熱運動と温度

物をつくる粒子はいつも不規則に動いていて、温度はその動きの激しさを表します。

水も鉄も空気も、原子や分子という、とても小さな粒子が集まってできています。粒子は目に見えないほど小さく、コップ1杯の水の中には、数えきれないほどたくさんあります。

これらの粒子は、止まっていることがなく、いつもでたらめな向きに動き回っています。物をつくる粒子の、このような不規則な動きを熱運動といいます。水のような液体では、粒子が向きを変えながら動き回っています。氷や鉄のような固体では、粒子はほぼ決まった場所にいますが、その場で細かく振動しています。

温度が高い物ほど、粒子の熱運動は激しくなります。粒子が速く動いているということです。温度が低い物ほど、熱運動はおだやかになります。温度は、粒子の熱運動の激しさを表す目盛りです。

下の図では、水に落としたインクの広がり方で、粒子の動きの激しさを比べます。インクの粒子は、まわりの水の粒子とぶつかりながら散らばっていきます。

拡大 水の温度 40 ℃

粒子は、見やすくするために、実際よりずっと大きく、ゆっくり描いています。温度による速さの違いも、大きく見せています。赤い粒がインクの粒子です。

やってみよう

「10 ℃」のボタンを押してから「インクを落とす」を押し、赤い粒が散らばる様子を見てください。次に「80 ℃」のボタンを押して、もう一度「インクを落とす」を押してください。赤い粒が窓全体に広がるのが速いのは、どちらの温度のときですか。

分かること

80 ℃ のときです。温度が高いほど粒子の熱運動が激しいので、インクの粒子も速く散らばります。

確認

0 ℃ の氷をつくる粒子は、止まっていますか。

答え

止まっていません。固体の粒子も、その場で細かく振動しています。

2絶対温度

−273 ℃ を 0 とする温度を絶対温度といい、T = t + 273 で求めます。

ふだん使っている ℃ の温度は、地上の空気の圧力のもとで、水が凍る温度を 0 ℃、沸騰する温度を 100 ℃ とし、その間を 100 等分して目盛りを付けたものです。この温度の表し方をセルシウス温度といいます。このページでは、セルシウス温度を t で表します。運動の式では t を時間に使いますが、このページの t は時間ではなく、セルシウス温度です。

物の温度を下げていくと、粒子の熱運動はどんどんおだやかになります。そして約 −273 ℃ で、熱運動は最もおだやかになります。これより低い温度はありません。この、いちばん低い温度 −273 ℃ を絶対零度といいます。正確には −273.15 ℃ ですが、このページでは −273 ℃ とします。

絶対零度を 0 として測る温度を絶対温度といいます。記号は T、単位は K(ケルビン)です。K には「°」を付けません。絶対温度の 1 K の間隔は、セルシウス温度の 1 ℃ の間隔と同じです。目盛りの間隔はそのままで、0 の位置だけを −273 ℃ に下げたものです。

0 ℃ は、絶対零度(−273 ℃)より 273 ℃ 高い温度です。だから、0 ℃ は 273 K です。27 ℃ は、0 ℃ よりさらに 27 ℃ 高いので、273 + 27 = 300 K です。セルシウス温度に 273 を足すと、絶対温度になります。

T = t + 273
t はセルシウス温度(℃)、T は絶対温度(K)です。

逆に、絶対温度から 273 を引くと、セルシウス温度になります。たとえば 373 K は、373 − 273 = 100 ℃ です。

セルシウス温度 t [℃] 絶対温度 T [K] 10027 0−273 373300 2730 水が沸騰する 水が凍る 273 絶対零度 これより低い温度はない

左右の目盛りの間隔は同じで、0 の位置だけが違います。

確認

−300 ℃ という温度はありますか。

答え

ありません。−273 ℃(絶対零度)より低い温度はないからです。

例題

(1) 体温 37 ℃ は、絶対温度で何 K ですか。(2) 液体の窒素の温度 77 K は、セルシウス温度で何 ℃ ですか。

  1. (1) T = t + 273 に t = 37 を入れます。
  2. T = 37 + 273 = 310 K です。
  3. (2) 絶対温度から 273 を引くと、セルシウス温度になります。
  4. t = 77 − 273 = −196 ℃ です。

答え: (1) 310 K (2) −196 ℃

3熱と熱量

温度の高い物から低い物へ移るエネルギーを熱といい、その量を熱量といいます。

やかんに水を入れて、コンロの火にかけます。火は、やかんよりずっと温度が高い物です。しばらくすると、やかんの底が熱くなり、中の水の温度も上がっていきます。

コンロの火にかけたやかん。火からやかんの底へ、やかんの底から中の水へ、熱が移る向きを矢印で示している 熱 火 やかん 水

矢印は、熱が移る向きです。

温度の違う物どうしが触れると、温度の高い物から低い物へ、エネルギーが移ります。温度の違いによって移るエネルギーを熱といいます。やかんでは、火からやかんの底へ、やかんの底から水へ、熱が移っています。熱が移ると、水の粒子の熱運動が激しくなり、水の温度が上がります。

移った熱の量を熱量といいます。記号は Q です。熱量の単位は J(ジュール)です。J はエネルギーの単位です。

温度は、物をつくる粒子の熱運動がどれだけ激しいかを表します。熱は、物から物へ移るエネルギーです。「熱い」「温かい」という言葉は温度のことですが、物理で「熱」というときは、移るエネルギーのことです。

確認

冷たい水に手を入れると冷たく感じるのは、水から手へ「冷たさ」が移るからですか。

答え

いいえ。温度の高い手から、温度の低い水へ熱が移るからです。

4熱容量

物の温度を 1 K 上げるのに要る熱量を熱容量といい、熱量は Q = CΔT で求めます。

同じ強さの火で、小さい鍋の水と、大きい鍋にたっぷり入れた水を温めます。小さい鍋の水はすぐに温まりますが、大きい鍋の水はなかなか温まりません。物によって、温まりやすさが違います。

同じ大きさの火にかけた、水が少ない小さい鍋と、水がたっぷり入った大きい鍋。小さい鍋からは湯気が出ている 小さい鍋 大きい鍋

同じ火で温めても、水が多い鍋のほうが温まりにくくなります。

温まりやすさを、数値で比べます。このページでは、熱は外へ逃げないとします。実験すると、100 g の水の温度を 1 K 上げるには、420 J の熱量が要ります。2 K 上げるには 420 × 2 = 840 J、3 K 上げるには 420 × 3 = 1260 J が要ります。10 K 上げるには 420 × 10 = 4200 J です。要る熱量は、何 K 上げるかに比例します。

温度が上がった分を、記号 ΔT で表します。Δ(デルタ)は「変化」を表す記号で、ΔT は「温度の変化」です。ΔT = 後の温度 − 前の温度 です。20 ℃ の水が 30 ℃ になったら、ΔT = 30 − 20 = 10 K です。温度の変化は、℃ で数えても K で数えても同じ数です。20 ℃ は 293 K、30 ℃ は 303 K なので、K で数えても 303 − 293 = 10 K です。

物の温度を 1 K 上げるのに要る熱量を、その物の熱容量といいます。記号は C、単位は J/K(ジュール毎ケルビン)です。100 g の水の熱容量は C = 420 J/K です。熱容量 C の物は、1 K 上げるのに C の熱量が要ります。ΔT だけ上げるには、その ΔT 倍の熱量が要るので、次の式で求めます。

Q = CΔT
C は熱容量(J/K)、ΔT は温度の変化(K)です。CΔT は C × ΔT のことです。

熱容量が大きい物ほど、同じ熱量を加えたときの温度の上がり方は小さくなります。水の量が多いほど、熱容量は大きくなります。

下の図で、同じ熱量を加えたときの、量の違う水の温度の上がり方を比べます。

ヒーター ヒーター 水 100 g 水 200 g

どちらの水も、はじめは 20 ℃ です。2台のヒーターは、どちらの水にも同じ熱量 Q を加えます。ビーカーが温まる分は考えません。

100 g の水の温度の変化 ΔT K 200 g の水の温度の変化 ΔT K

やってみよう

100 g の水がちょうど 8.0 K 上がるように、加えた熱量 Q を合わせてください。次に、200 g の水がちょうど 8.0 K 上がるように合わせてください。Q はそれぞれ何 J ですか。200 g の水に要る熱量は、100 g の水の何倍ですか。

分かること

100 g の水は 3360 J、200 g の水は 6720 J で、2 倍です。200 g の水は、1 K 上げるのに 100 g の水の 2 倍の熱量が要ります(熱容量 840 J/K)。

確認

熱容量が大きい物は、温まりやすいですか、温まりにくいですか。

答え

温まりにくいです。1 K 上げるのに要る熱量が大きいからです。

例題

熱容量 4.5 J/K の鉄くぎを、20 ℃ から 40 ℃ まで温めます。要る熱量を求めなさい。

  1. 熱容量 4.5 J/K は、1 K 上げるのに 4.5 J が要るということです。
  2. 温度の変化は、ΔT = 40 − 20 = 20 K です。
  3. Q = CΔT = 4.5 × 20 = 90 J です。

答え: 90 J

5比熱

物質 1 g の温度を 1 K 上げるのに要る熱量を比熱といい、熱量は Q = mcΔT で求めます。

夏の晴れた昼、砂浜と海は、同じ太陽の光を浴びています。それでも、砂浜の砂は足を置けないほど熱くなるのに、海の水はぬるいままです。

夏の太陽の光を、左の砂浜と右の海が同じように受けている様子 砂浜 海

同じ日差しを受けても、砂は熱くなり、海の水はぬるいままです。

同じ質量で比べても、物質によって温まりやすさが違います。物質ごとの温まりやすさは、1 g あたりで比べます。

物質 1 g の温度を 1 K 上げるのに要る熱量を、その物質の比熱といいます。記号は小文字の c です。比熱の単位は J/(g·K)(ジュール毎グラム毎ケルビン)です。水の比熱は 4.2 J/(g·K) です。水 1 g を 1 K 上げるには、4.2 J が要ります。比熱は、物質の種類で決まります。

物質水アルミニウム鉄
比熱 [J/(g·K)]4.20.900.45

比熱が大きい物質ほど、温まりにくい物質です。砂の比熱は、水よりずっと小さい値です。

このページでは、比熱の単位が J/(g·K) なので、質量 m は g で入れます。

水 1 g を 1 K 上げるには 4.2 J が要ります。水 100 g を 1 K 上げるには、1 g あたり 4.2 J が 100 g 分要るので、100 × 4.2 = 420 J です。これは、100 g の水の熱容量 420 J/K(項目4)と同じです。質量 m の物の熱容量は、比熱 c の m 倍です。

C = mc

熱容量の式 Q = CΔT の C に、mc を入れます。

Q = mcΔT
m は質量(g)、c は比熱(J/(g·K))、ΔT は温度の変化(K)です。mcΔT は m × c × ΔT のことです。

下の図で、同じ 100 g の水・アルミニウム・鉄に同じ熱量を加えたときの、温度の上がり方を比べます。

ヒーター はじめ 水 100 g

どの物も、はじめは 20 ℃ で、質量は 100 g です。

温度の変化 ΔT K 今の温度 t ℃

やってみよう

加えた熱量 Q を 1260 J にして、「水」のボタンを押してください。次に Q はそのままで、「鉄」のボタンを押してください。温度の変化 ΔT は、いくつからいくつになりましたか。およそ何倍になりましたか。

分かること

ΔT は 3.0 K から 28.0 K になり、およそ 9 倍になりました。鉄の比熱 0.45 J/(g·K) は、水の比熱 4.2 J/(g·K) の約 9 分の 1 なので、同じ熱量で約 9 倍上がります。

確認

鉄 100 g と鉄 1 kg では、比熱は違いますか。

答え

同じです。比熱は 1 g あたりの値で、物質の種類で決まるからです(熱容量は 1 kg のほうが 10 倍です)。

例題

水 200 g を、20 ℃ から 50 ℃ まで温めます。要る熱量を求めなさい。水の比熱は 4.2 J/(g·K) とします。

  1. 水 1 g を 1 K 上げるには 4.2 J なので、200 g を 1 K 上げるには 200 × 4.2 = 840 J が要ります。
  2. 温度の変化は、ΔT = 50 − 20 = 30 K です。
  3. Q = mcΔT = 200 × 4.2 × 30 = 25200 J です。
  4. 与えられた比熱 4.2 が 2 桁なので、答えも 2 桁に丸めます。25200 ≒ 25000 J です。
  5. 25000 と書くと、何桁目までが意味のある数か分からないので、2.5 × 10⁴ J と書きます。10⁴ は 10 × 10 × 10 × 10 = 10000 のことです。

答え: 約 2.5 × 10⁴ J

練習問題

水の比熱は 4.2 J/(g·K) とします。熱は外へ逃げないものとします。

パターン1 セルシウス温度と絶対温度

問1次の温度を、絶対温度で答えなさい。(1) 15 ℃ (2) −23 ℃

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(1) 288 K (2) 250 K

(1) T = t + 273 = 15 + 273 = 288 K (2) T = −23 + 273 = 250 K

問2ある日の気温は、朝が 12 ℃、昼が 31 ℃ でした。朝から昼までに、気温は何 K 上がりましたか。

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19 K

31 − 12 = 19 K(273 は足さない)

パターン2 比熱と Q = mcΔT

問3質量 100 g の鉄を、20 ℃ から 62 ℃ まで温めます。要る熱量を求めなさい。鉄の比熱は 0.45 J/(g·K) とします。

答えを見る

約 1.9 × 10³ J

ΔT = 62 − 20 = 42 K。Q = mcΔT = 100 × 0.45 × 42 = 1890 ≒ 1.9 × 10³ J(2 桁に丸めて)

問4質量 100 g のある金属に、2520 J の熱量を加えると、温度が 20 ℃ から 48 ℃ に上がりました。この金属の比熱を求め、下の表のどの物質か答えなさい。

物質水アルミニウム鉄
比熱 [J/(g·K)]4.20.900.45
答えを見る

0.90 J/(g·K)、アルミニウム

ΔT = 48 − 20 = 28 K。Q = mcΔT から c = Q ÷ (mΔT) = 2520 ÷ (100 × 28) = 2520 ÷ 2800 = 0.90 J/(g·K)。表から、アルミニウム

パターン3 熱容量

問5水 200 g の熱容量を求めなさい。また、この水を 20 ℃ から 27 ℃ まで温めるのに要る熱量を、熱容量を使って求めなさい。

答えを見る

熱容量 8.4 × 10² J/K、熱量 約 5.9 × 10³ J

C = mc = 200 × 4.2 = 840 = 8.4 × 10² J/K。ΔT = 27 − 20 = 7 K。Q = CΔT = 840 × 7 = 5880 ≒ 5.9 × 10³ J(2 桁に丸めて)

問620 ℃ の水 100 g に、2100 J の熱量を加えました。水の温度は何 ℃ になりますか。

答えを見る

25 ℃

C = mc = 100 × 4.2 = 420 = 4.2 × 10² J/K。Q = CΔT から ΔT = Q ÷ C = 2100 ÷ 420 = 5.0 K。後の温度は 20 + 5.0 = 25 ℃

つまずきやすいところ

まとめ

公式

絶対温度T = t + 273t はセルシウス温度(℃)、T は絶対温度(K)です。
熱容量Q = CΔTQ は熱量(J)、C は熱容量(J/K)、ΔT は温度の変化(K)です。
比熱Q = mcΔTm は質量(g)、c は比熱(J/(g·K))です。
熱容量と比熱C = mc

物理基礎 第4章 熱

  1. 熱と温度
  2. 熱量の保存と状態変化
  3. 熱と仕事

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