ゼロからの高校物理 / 物理基礎 / 力と運動の法則

力の合成と分解(三角比)

公式

力の成分Fx = F cos θ、Fy = F sin θθ は力と x 軸の間の、90° 以下の角です。符号は向きで付けます(右・上が +、左・下が −)。
成分から大きさF = √Fx2 + Fy2
合力の x 成分Fx = F1x + F2x + …成分は、符号をつけたまま足します。
合力の y 成分Fy = F1y + F2y + …

1力の成分と符号

力を横と縦の分力に分け、その大きさに向きを表す + か − を付けたものを、x 成分・y 成分といいます。

方眼の 1 目盛りを 1.0 N として、根元から右へ 4 目盛り・上へ 3 目盛りの矢印で表される力を考えます。この力を、横向きと縦向きの2つの力に分けます。もとの力の矢印を対角線とする長方形をかくと、その2辺が、分けた力(分力)です。横向きの分力は 4 目盛りで 4.0 N、縦向きの分力は 3 目盛りで 3.0 N です。

横向きの分力の大きさに、向きを表す符号を付けたものを、もとの力のx 成分といいます。縦向きの分力の大きさに符号を付けたものを、y 成分といいます。符号は、このあと決める向きの約束で付けます。

力の根元を通る横の直線を x 軸、縦の直線を y 軸とします。数学のグラフの横軸・縦軸と同じ名前です。このページでは、右を x 軸の正の向き、上を y 軸の正の向きとします。

向きも含めた力を F(エフ・ベクトル)と書き、矢印を付けない F でその大きさを表します。力 F の x 成分を Fx、y 成分を Fy と書きます。Fx は「エフ・エックス」、Fy は「エフ・ワイ」と読みます。小さい x と y は、どちら向きの成分かを表す名前です。番号ではありません。右へ 4 目盛り・上へ 3 目盛りの力なら、Fx = +4.0 N、Fy = +3.0 N です。

左を向いた x 成分には −、下を向いた y 成分には − を付けます。たとえば Fx = −3.0 N は、「左向きに 3.0 N 分」という意味です。Fy = −2.0 N は、「下向きに 2.0 N 分」という意味です。

反対に、成分が分かれば、もとの力の矢印をかけます。Fx = −4.0 N、Fy = +3.0 N なら、根元から左へ 4 目盛り・上へ 3 目盛り進んだ点まで矢印を引きます。これが F です。だから、力は2つの成分で表せます。

x 成分と y 成分は、直角な2つの分力を表しています。2つの分力を合成すると、もとの力に戻ります。直角な2つの力の合力の大きさは、2つを2辺とする長方形の対角線の長さなので、三平方の定理で求められます。

F = √Fx2 + Fy2
F は力 F の大きさです。Fx、Fy が負のときも、2乗すると正になるので、符号をつけたまま入れてかまいません。

Fx = +4.0 N、Fy = +3.0 N なら、F = √4.02 + 3.02 = √25 = 5.0 N です。Fx = −4.0 N、Fy = +3.0 N でも、(−4.0)2 = 16 なので、F = √16 + 9.0 = √25 = 5.0 N です。

方眼の上に、根元を通る x 軸と y 軸を引き、根元から伸びる力 F の矢印と、その x 成分と y 成分の点線の矢印、F を対角線とする長方形の残りの2辺の破線を描いた図 1 目盛り = 1.0 N x 右が正 y 上が正 F F(= x 成分) x 成分 Fx y 成分 Fy 力は 0

藍の実線が力 F、点線がその x 成分と y 成分です。破線は、F を対角線とする長方形の残りの2辺です。

Fx N Fy N 力の大きさ F N

やってみよう

x 成分 Fx を +4.0 N のままにして、y 成分 Fy を +3.0 N から −3.0 N に変えてください。力の矢印の向きはどう変わりましたか。力の大きさ F は変わりましたか。

分かること

矢印は右上向きから右下向きに変わりました。力の大きさ F は、どちらも 5.0 N で変わりません。

確認

左下を向いた力の x 成分と y 成分の符号は、それぞれ + と − のどちらですか。

答え

どちらも − です。x 成分は左向きなので −、y 成分は下向きなので − です。

2三角比で力を分解する

斜めの力の成分の大きさは、F cos θ と F sin θ で求めます。θ は、力と x 軸の間の 90° 以下の角です。符号は向きで付けます。

床の上の台車に、あなたがひもを付けて引きます。横から見た図で考えます。ひもは右に向かって、床(水平)から 30° 上へ張っています。ひもが台車を引く力の大きさは 10 N です。

この力の矢印を方眼にかくと、矢印の先は、方眼の線が交わる点にぴったり乗りません。だから、項目1のように目盛りを数えても、成分は読めません。そこで、力の大きさと角度から、成分を計算で求めます。そのために使うのが三角比です。

角を表すときは、θ という文字をよく使います。「シータ」と読みます。このページでは、θ は「力の矢印と x 軸の間の角」とします。台車のひもでは θ = 30° です。

力 F を、項目1と同じように、x 成分と y 成分を2辺とする長方形の対角線と見ます。この長方形を対角線で半分に切ると、直角三角形ができます。直角三角形の、一番長い辺(直角の向かい側)を斜辺といいます。ここでは F が斜辺です。角 θ をはさむ横の辺を底辺、縦の辺を高さと呼ぶことにします。底辺の長さが Fx、高さが Fy です。

θ が同じ直角三角形は、大きさがちがっても、拡大・縮小しただけの同じ形です。同じ形なので、斜辺に対する底辺の割合と、斜辺に対する高さの割合は、θ だけで決まります。たとえば θ = 30° の直角三角形は、どんな大きさでも、高さが斜辺のちょうど半分になります。

斜辺に対する底辺の割合を cos θ と書き、「コサイン・シータ」と読みます。斜辺に対する高さの割合を sin θ と書き、「サイン・シータ」と読みます。

cos θ = 底辺 ÷ 斜辺、sin θ = 高さ ÷ 斜辺
θ は、斜辺と底辺の間の角です。

cos θ と sin θ をまとめて、三角比といいます。

θ 斜辺 底辺 高さ cos θ = 底辺 ÷ 斜辺 sin θ = 高さ ÷ 斜辺 30° 60° 斜辺 2 底辺 √3 高さ 1 45° 斜辺 √2 底辺 1 高さ 1

2種類の三角定規の形です。√3 ≒ 1.73、√2 ≒ 1.41 です。どの三角形も、θ は左下の角です。

30° の三角定規は、高さ 1、斜辺 2、底辺 √3 の形です。√3 は約 1.73 です。だから cos 30° = √3 ÷ 2 ≒ 0.866、sin 30° = 1 ÷ 2 = 0.500 です。同じ三角定規を、60° の角が左下に来るように置き直すと、底辺と高さが入れかわります。だから cos 60° = 0.500、sin 60° ≒ 0.866 です。45° の三角定規は、底辺 1、高さ 1、斜辺 √2 の形です。√2 は約 1.41 です。cos 45° と sin 45° は、どちらも 1 ÷ √2 ≒ 0.707 です。このページで使う値を表にまとめます。

θ30°45°60°
cos θ√3/2 ≒ 0.8661/√2 ≒ 0.7071/2 = 0.500
sin θ1/2 = 0.5001/√2 ≒ 0.707√3/2 ≒ 0.866

cos θ = 底辺 ÷ 斜辺 で、底辺が Fx、斜辺が F です。だから Fx = F × cos θ です。sin θ = 高さ ÷ 斜辺 で、高さが Fy です。だから Fy = F × sin θ です。

Fx = F cos θ、Fy = F sin θ
θ は力と x 軸の間の角です。F cos θ は F × cos θ のことで、× を省いて書きます。

台車を引くひもの力は、F = 10 N、θ = 30° です。Fx = 10 × cos 30° ≒ 10 × 0.866 = 8.66 ≒ 8.7 N です。Fy = 10 × sin 30° = 10 × 0.500 = 5.0 N です。10 N で引いていても、台車を右へ進める分は 8.7 N、上へ持ち上げようとする分は 5.0 N です。

床の上の台車を横から見た図。台車の右の面の根元から、あなたが引くひもの向きに力 F の矢印、根元を通る x 軸と y 軸、F の x 成分 Fx と y 成分 Fy の点線の矢印、F を対角線とする長方形の残りの2辺の破線、ひもと x 軸の間の角 θ の印 床 x y あなた θ F F(= Fx) Fx Fy

藍の実線がひもの力 F、点線がその x 成分と y 成分です。θ は、ひもと x 軸(水平)の間の角です。

Fx N Fy N

やってみよう

ひもの力の大きさ F を 10 N のままにして、ひもの角の「60°」のボタンを押してください(初めは 30°)。Fx と Fy は、それぞれいくつからいくつになりましたか。

分かること

Fx は 8.7 N から 5.0 N に、Fy は 5.0 N から 8.7 N になりました。30° と 60° では、cos と sin の値が入れかわるので、Fx と Fy の値も入れかわります。ひもを立てるほど、台車を右へ進める分は小さくなります。

力が左や下を向いているときも、θ は x 軸との間の 90° 以下の角で測ります。左を向いた力なら、左向きの x 軸との間の角です。三角比で成分の大きさを求めてから、向きに合わせて + か − を付けます。たとえば、左上へ 10 N で、左向きの x 軸から 30° 上を向いた力を考えます。成分の大きさは、x が 10 × cos 30° ≒ 10 × 0.866 = 8.66 ≒ 8.7 N、y が 10 × sin 30° = 10 × 0.500 = 5.0 N です。x 成分は左向きなので Fx ≒ −8.7 N、y 成分は上向きなので Fy = +5.0 N です。

問題によっては、角が縦(y 軸)から測って書かれていることがあります。たとえば「ひもが真上から 30° 傾いている」なら、ひもと x 軸の間の角は 90° − 30° = 60° です。このときは θ = 60° として、Fx = F cos 60°、Fy = F sin 60° を使います。縦から測った 30° をそのまま θ に入れると、Fx と Fy が入れかわってしまいます。迷ったら、x 軸との間の角に直してから式を使います。

確認

ひもの角 θ が 0° のとき(ひもが水平のとき)、Fy はいくつですか。

答え

0 N です。ひもが水平なので、台車を上へ持ち上げようとする分はありません。

例題

台車をひもで引きます。ひもの力の大きさは 20 N で、ひもは右に向かって、水平から 30° 上を向いています。この力の x 成分 Fx と y 成分 Fy を求めなさい。

  1. θ はひもと x 軸(水平)の間の角なので、θ = 30° です。
  2. 表から、cos 30° ≒ 0.866、sin 30° = 0.500 です。
  3. Fx = F cos θ = 20 × 0.866 = 17.32 ≒ 17 N です。
  4. Fy = F sin θ = 20 × 0.500 = 10 N です。
  5. x 成分は右向き、y 成分は上向きなので、どちらも + です。

答え: Fx ≒ +17 N、Fy = +10 N

3成分で2つの力を合成する

2つの力の合力は、x 成分どうし、y 成分どうしを足して求めます。大きさは、その2つから三平方の定理で求めます。

床の上の箱に2本のひもを付け、上から見た図で考えます。あなたは右向きに 4.0 N で引きます。友だちは、あなたのひもから反時計回りに 60° 開いた向きに、4.0 N で引きます。

2つの力の矢印の根元をそろえたとき、2つを2辺とする平行四辺形の対角線が合力です。2本のひもが直角なら、平行四辺形は長方形なので、三平方の定理で合力の大きさが計算できます。でも 60° のときは、平行四辺形が長方形になりません。作図はできても、対角線の長さを正確に読むのはむずかしくなります。そこで、成分を使って計算します。

成分を使った合成は、次の3つの手順です。

x 成分は、どれも横の一直線の上の量なので、符号をつけたまま足せます(+4.0 N と −1.0 N なら、(+4.0) + (−1.0) = +3.0 N で、右向きに 3.0 N 分)。y 成分どうしも同じです。

あなたの力を F1、友だちの力を F2 とします。F1 の x 成分を F1x、y 成分を F1y と書きます。「エフ・ワン・エックス」「エフ・ワン・ワイ」と読みます。数字の 1 は力の番号、x と y は成分の向きの名前です。F2 の成分は F2x、F2y です。合力は F なので、合力の成分は項目1と同じく Fx、Fy と書きます。

あなたの力 F1 は右向きなので、F1x = +4.0 N、F1y = 0 N です。友だちの力 F2 は、x 軸から θ = 60° の向きです。F2x = 4.0 × cos 60° = 4.0 × 0.500 = 2.0 N です。右向きなので +2.0 N です。F2y = 4.0 × sin 60° ≒ 4.0 × 0.866 ≒ 3.46 N です。上向きなので +3.46 N です。

表にまとめて、縦に足します。

x 成分y 成分
あなた F1+4.0 N0 N
友だち F2+2.0 N+3.46 N
合力 F+6.0 N+3.46 N

式で書くと、次のようになります。

Fx = F1x + F2x、Fy = F1y + F2y
合力の x 成分は、x 成分どうしの和です。y 成分も同じです。符号をつけたまま足します。

Fx = 4.0 + 2.0 = 6.0 N、Fy = 0 + 3.46 = 3.46 N です。

合力の大きさは、項目1の F = √Fx2 + Fy2 で求めます。F = √6.02 + 3.462 ≒ √36 + 12.0 = √48.0 ≒ 6.9 N です。

合力の向きは、x 成分と y 成分を2辺とする長方形の、対角線の向きです。ここでは、方眼(1 目盛り = 1.0 N)で、根元から右へ 6.0 目盛り、上へ約 3.5 目盛り進んだ点に向かう向きです。x 成分と y 成分が同じ大きさのときは、長方形が正方形になるので、合力は x 軸から 45° の向きです。

友だちが、あなたのひもから 120° 開いた向きに引くと、友だちのひもは左上を向きます。このときの θ は、左向きの x 軸との間の角で、180° − 120° = 60° です。成分の大きさは、x が 4.0 × 0.500 = 2.0 N、y が 4.0 × 0.866 ≒ 3.46 N で、60° のときと同じです。ちがうのは向きです。x 成分は左向きなので F2x = −2.0 N、y 成分は上向きなので F2y = +3.46 N です。合力の x 成分は Fx = 4.0 + (−2.0) = 2.0 N になります。

箱を上から見た方眼の図。箱の点を通る x 軸と y 軸、あなたの力 F1(右向き 4.0 N)と、友だちの力 F2(F1 から反時計回りに角をなす向き 4.0 N)の矢印、2つを2辺とする平行四辺形の破線と、対角線の合力 F の太い矢印。F2 と x 軸の間の角の印 1 目盛り = 1.0 N x y あなた 友だち 60° F1 4.0 N F2 4.0 N 合力 F 合力は 0

箱を上から見た図です(図の上が奥)。藍の矢印は力で、太い矢印が合力です。破線は平行四辺形の残りの2辺です。角の印は、計算に使う角(F2 と x 軸の間の角)です。

合力の x 成分 Fx N 合力の y 成分 Fy N 合力の大きさ F N

やってみよう

友だちの向きを 60° から 150° に変えてください。合力の x 成分 Fx、y 成分 Fy、大きさ F は、それぞれいくつからいくつになりましたか。

分かること

Fx は +6.0 N から +0.5 N に、Fy は +3.5 N から +2.0 N に、F は 6.9 N から 2.1 N になりました。150° では、友だちの力の x 成分が左向きの −3.46 N になり、合力の x 成分を減らします。友だちの力の y 成分も、+3.46 N から +2.0 N に小さくなります。

確認

2つの力の y 成分が、どちらも上向きです。合力の y 成分の大きさは、2つの y 成分の大きさを足した値になりますか。

答え

なります。同じ向きの、縦の一直線の上の量なので、そのまま足せます。

例題

箱に2本のひもを付けて引きます。1本は右向きに 10 N、もう1本は、右向きから反時計回りに 60° 開いた向きに 10 N です。合力の大きさを求めなさい。

  1. 1本目の力は右向きなので、F1x = +10 N、F1y = 0 N です。
  2. 2本目の力は x 軸から 60° なので、F2x = 10 × cos 60° = 10 × 0.500 = 5.0 N、F2y = 10 × sin 60° ≒ 10 × 0.866 = 8.66 N です。x 成分は右向き、y 成分は上向きなので、どちらも + です。
  3. 合力の x 成分は Fx = 10 + 5.0 = 15 N です。
  4. 合力の y 成分は Fy = 0 + 8.66 = 8.66 N です。
  5. F = √152 + 8.662 ≒ √225 + 75.0 = √300 ≒ 17 N です。

答え: 約 17 N

43つ以上の力の合成

力が3つ以上あっても、x 成分を全部足し、y 成分を全部足せば、合力が求まります。

机の上のリングに3本のひもを付け、3方向から引きます。上から見た図で考えます。1本目は右向きに 4.0 N、2本目は図の上向きに 3.0 N で引きます。3本目は、方眼の上で、根元から左へ 4 目盛り・下へ 3 目盛り進む向き(左下)に、2.0 N で引きます。3つの力を、F1、F2、F3 とします。

作図で3つの力の合力を求めるには、まず F1 と F2 を平行四辺形でまとめます。次に、その合力と F3 を、もう一度平行四辺形でまとめます。力が増えるほど、平行四辺形を何回もかくことになります。成分を使えば、力がいくつあっても、x 成分と y 成分を全部足すだけです。

F3 の向きは「左へ 4・下へ 3」なので、底辺 4、高さ 3 の直角三角形ができます。斜辺は、三平方の定理で √42 + 32 = 5 です。この向きの θ は、項目2の約束どおり、左向きの x 軸との間の角です。項目2の cos θ = 底辺 ÷ 斜辺 から、この向きの cos θ は 4 ÷ 5 = 0.80、sin θ は 3 ÷ 5 = 0.60 です。だから、成分の大きさは、x が 2.0 × 0.80 = 1.6 N、y が 2.0 × 0.60 = 1.2 N です。左向き・下向きなので、F3x = −1.6 N、F3y = −1.2 N です。

x 成分y 成分
F1+4.0 N0 N
F20 N+3.0 N
F3−1.6 N−1.2 N
合力 F+2.4 N+1.8 N

Fx = 4.0 + 0 + (−1.6) = 2.4 N、Fy = 0 + 3.0 + (−1.2) = 1.8 N です。合力の大きさは、F = √2.42 + 1.82 = √5.76 + 3.24 = √9.00 = 3.0 N です。

力が何個あっても、同じように足します。

Fx = F1x + F2x + F3x + …、Fy = F1y + F2y + F3y + …
「…」は、力がもっとあれば続けて足すという意味です。符号をつけたまま足します。

3つの力でも、合力が 0 になることがあります。下の図で、F3 の向きと大きさを変えて、合力が 0 になる組を探します。

リングを上から見た方眼の図。リングの点を通る x 軸と y 軸、右向き 4.0 N の F1、上向き 3.0 N の F2、向きと大きさを変えられる F3 の矢印と、3つの力の合力 F の太い矢印 1 目盛り = 1.0 N x y F1 4.0 N F2 3.0 N F3 合力 F 合力は 0

リングを上から見た図です(図の上が奥)。藍の実線が3本のひもの力、太い矢印が3つの力の合力です。F1 と F2 は変わりません。

合力の x 成分 Fx N 合力の y 成分 Fy N 合力の大きさ F N

やってみよう

F3 の向きの「左」のボタンを押し、大きさを 4.0 N にしてください。合力は Fx = 0.0 N、Fy = +3.0 N になります。ここから F3 の向きのボタンと大きさを変えて、合力の大きさ F を 0.0 N にしてください。そのときの F3 の向きと大きさは何ですか。

分かること

向き「左へ 4・下へ 3」、大きさ 5.0 N のとき、Fx = 0.0 N、Fy = 0.0 N で、合力は 0 になります。

確認

3つの力の合力が 0 のとき、F3 と、F1 と F2 の合力は、どんな関係ですか。

答え

同じ大きさで、逆向きです。F1 と F2 の合力の成分と、F3 の成分は、符号だけが逆で、足すと x も y も 0 になります。

例題

リングに3本のひもを付けて引きます。3つの力の大きさはどれも 10 N です。F1 は右向き、F2 は左上向きで左向きの x 軸から 60° 上、F3 は左下向きで左向きの x 軸から 60° 下です(3本のひもは 120° ずつ開いています)。合力の大きさを求めなさい。

  1. F1 は右向きなので、F1x = +10 N、F1y = 0 N です。
  2. F2 は θ = 60° なので、成分の大きさは x が 10 × 0.500 = 5.0 N、y が 10 × 0.866 = 8.66 N です。左上向きなので、F2x = −5.0 N、F2y = +8.66 N です。
  3. F3 も θ = 60° で、成分の大きさは F2 と同じです。左下向きなので、F3x = −5.0 N、F3y = −8.66 N です。
  4. Fx = 10 + (−5.0) + (−5.0) = 0 N です。
  5. Fy = 0 + 8.66 + (−8.66) = 0 N です。
  6. x 成分も y 成分も 0 なので、合力の大きさは 0 N です。

答え: 0 N(合力は 0)

練習問題

力の大きさの単位は N です。右を x 軸の正の向き、上を y 軸の正の向きとします。三角比は、cos 30° ≒ 0.866、sin 30° = 0.500、cos 45° = sin 45° ≒ 0.707、cos 60° = 0.500、sin 60° ≒ 0.866 を使います。

パターン1 三角比で分解

問1台車をひもで引きます。ひもの力の大きさは 8.0 N で、ひもは真上から 30° 傾いて、右上を向いています。この力の x 成分 Fx と y 成分 Fy を求めなさい。

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Fx = +4.0 N、Fy ≒ +6.9 N

30° は真上(y 軸)から測った角なので、x 軸との間の角に直す。θ = 90° − 30° = 60°。Fx = F cos θ = 8.0 × cos 60° = 8.0 × 0.500 = 4.0 N。Fy = F sin θ = 8.0 × sin 60° ≒ 8.0 × 0.866 = 6.928 ≒ 6.9 N。x 成分は右向き、y 成分は上向きなので、どちらも +

問2点 O に、大きさ 6.0 N の力がはたらいています。力は左下向きで、左向きの x 軸から 45° 下を向いています。この力の x 成分 Fx と y 成分 Fy を、符号まで付けて答えなさい。

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Fx ≒ −4.2 N、Fy ≒ −4.2 N

θ は x 軸との間の 90° 以下の角なので、左向きの x 軸から測って θ = 45°。成分の大きさは、x が 6.0 × cos 45° ≒ 6.0 × 0.707 = 4.242 ≒ 4.2 N、y が 6.0 × sin 45° ≒ 6.0 × 0.707 = 4.242 ≒ 4.2 N。x 成分は左向きなので −、y 成分は下向きなので −。だから Fx ≒ −4.2 N、Fy ≒ −4.2 N

点 O から左下へ、左向きの x 軸から 45° 下を向いた 6.0 N の力 F の矢印。x 成分 Fx ≒ −4.2 N は左向き、y 成分 Fy ≒ −4.2 N は下向きの点線の矢印で、F の先から2つの成分の先へ長方形の残りの2辺の破線を引いた図 x 右が正 y 上が正 45° O Fx ≒ −4.2 N Fy ≒ −4.2 N F 6.0 N

パターン2 成分で2力の合成

問3箱に2本のひもを付けて引きます。1本は右向きに 4.0 N、もう1本は、右向きから反時計回りに 30° 開いた向きに 4.0 N です。合力の大きさを求めなさい。

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約 7.7 N

1本目は F1x = +4.0 N、F1y = 0 N。2本目は θ = 30° で、F2x = 4.0 × cos 30° ≒ 4.0 × 0.866 ≒ 3.46 N、F2y = 4.0 × sin 30° = 4.0 × 0.500 = 2.0 N(どちらも +)。Fx = 4.0 + 3.46 = 7.46 N、Fy = 0 + 2.0 = 2.0 N。F = √7.462 + 2.02 ≒ √55.7 + 4.0 = √59.7 ≒ 7.7 N

問4点 O に、2つの力がはたらいています。F1 は大きさ 10 N で、右向きの x 軸から 30° 上を向いています。F2 は大きさ 10 N で、右向きの x 軸から 60° 上を向いています。合力の x 成分と y 成分を求め、合力の大きさと向きを答えなさい。

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Fx ≒ +14 N、Fy ≒ +14 N。合力の大きさは約 19 N、向きは右向きの x 軸から 45° 上

F1x = 10 × cos 30° ≒ 10 × 0.866 = 8.66 N、F1y = 10 × sin 30° = 10 × 0.500 = 5.0 N。F2x = 10 × cos 60° = 10 × 0.500 = 5.0 N、F2y = 10 × sin 60° ≒ 10 × 0.866 = 8.66 N。Fx = 8.66 + 5.0 = 13.66 ≒ 14 N、Fy = 5.0 + 8.66 = 13.66 ≒ 14 N。F = √13.662 + 13.662 ≒ √186.6 + 186.6 = √373.2 ≒ 19 N。x 成分と y 成分が等しいので、2つを2辺とする長方形は正方形になり、合力はその対角線の向き、つまり x 軸から 45° の向き

パターン3 3つ以上の力

問5リングに3本のひもを付けて引きます。F1 は右向きに 4.0 N、F2 は上向きに 3.0 N、F3 は、左へ 3 進むと下へ 4 進む向き(左下)に 5.0 N です。合力の x 成分 Fx、y 成分 Fy と、合力の大きさを求めなさい。

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Fx = +1.0 N、Fy = −1.0 N、合力の大きさは約 1.4 N

F3 の向きは底辺 3、高さ 4、斜辺 √32 + 42 = 5 の直角三角形。成分の大きさは、x が 5.0 × 3 ÷ 5 = 3.0 N、y が 5.0 × 4 ÷ 5 = 4.0 N。左向き・下向きなので F3x = −3.0 N、F3y = −4.0 N。Fx = 4.0 + 0 + (−3.0) = 1.0 N、Fy = 0 + 3.0 + (−4.0) = −1.0 N。F = √1.02 + (−1.0)2 = √2.0 ≒ 1.4 N

問6リングに2本のひもを付けて引きます。F1 は大きさ 10 N で、右向きの x 軸から 60° 上を向いています。F2 は大きさ 10 N で、左向きの x 軸から 60° 上を向いています。3本目のひもを付けて、3つの力の合力を 0 にします。3本目のひもの力 F3 の大きさと向きを求めなさい。

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大きさ約 17 N、下向き

F1 の成分の大きさは、x が 10 × cos 60° = 10 × 0.500 = 5.0 N、y が 10 × sin 60° ≒ 10 × 0.866 = 8.66 N。F1 は右上向きなので、F1x = +5.0 N、F1y = +8.66 N。F2 は θ も大きさも同じで左上向きなので、F2x = −5.0 N、F2y = +8.66 N。F1 と F2 の合力は、x 成分 5.0 + (−5.0) = 0 N、y 成分 8.66 + 8.66 = 17.32 N で、上向きに 17.32 N。3つの力の合力を 0 にするには、F3 の成分は F3x = 0 N、F3y = −17.32 N。だから F3 は下向きで、大きさ 17.32 ≒ 17 N

つまずきやすいところ

まとめ

公式

力の成分Fx = F cos θ、Fy = F sin θθ は力と x 軸の間の、90° 以下の角です。符号は向きで付けます(右・上が +、左・下が −)。
成分から大きさF = √Fx2 + Fy2
合力の x 成分Fx = F1x + F2x + …成分は、符号をつけたまま足します。
合力の y 成分Fy = F1y + F2y + …

物理基礎 第2章 力と運動の法則

  1. 力の合成と分解(作図)
  2. 力の合成と分解(三角比)
  3. 重力と弾性力
  4. 垂直抗力・張力・摩擦力
  5. 力のつり合いと作用・反作用
  6. 運動の法則
  7. 斜面上の運動
  8. 2つの物体の運動
  9. 摩擦と運動
  10. 摩擦と運動(2)
  11. 運動方程式の応用
  12. 運動方程式の応用(2)
  13. 空気抵抗と終端速度
  14. 圧力と浮力

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