要点
惑星は、太陽を焦点の1つとする楕円の上を回ります。これをケプラーの第1法則といいます。
地球や火星のように、太陽のまわりを回る星を惑星といいます。惑星が太陽のまわりを回ることを公転といい、1 周する時間を公転周期といいます。昔は、惑星は太陽のまわりの円の上を回ると考えられていました。17 世紀の初め、ケプラーは、長い年月にわたって観測された火星の位置の記録を調べ、火星の通り道が円ではなく、少しつぶれた円であることを見つけました。このつぶれた円の形を楕円といいます。
楕円は、画びょう 2 本と糸で描けます。板に画びょうを 2 本刺し、長さ 10 cm の糸の両端を、それぞれの画びょうに結びます。あなたが鉛筆の先で糸をぴんと張ったまま、鉛筆を 1 周させると、楕円が描けます。鉛筆がどこにあっても、鉛筆から 2 本の画びょうまでの距離の和は、糸の長さの 10 cm です。
2 本の画びょうの位置を、楕円の焦点といいます。焦点は 2 つあります。2 つの焦点のちょうど真ん中が、楕円の中心です。焦点は、中心から左右にずれた所にあります。
2 つの焦点を通って、楕円の端から端まで引いた一番長い線を長軸といいます。この描き方では、長軸の長さは、画びょうの間の距離によらず、糸の長さと同じ 10 cm になります。長軸の半分の長さを半長軸といい、記号 a で表します。この楕円では a = 10 ÷ 2 = 5.0 cm です。a は加速度の記号にも使われますが、このページでは半長軸を表します。
ケプラーが見つけたことは、次のようにまとめられます。惑星は、太陽を焦点の1つとする楕円の上を回ります。これをケプラーの第1法則といいます。太陽は、楕円の中心ではなく、焦点の 1 つにあります。もう 1 つの焦点には何もありません。
楕円の上で、太陽に一番近い点を近日点、太陽から一番遠い点を遠日点といいます。近日点と遠日点は、どちらも長軸の端にあります。長軸は近日点から太陽を通って遠日点まで伸びているので、長軸の長さ = 近日点の距離 + 遠日点の距離 です。ここで「近日点の距離」は、太陽から近日点までの距離です。だから、半長軸は次のように求められます。
太陽と惑星の距離はとても長いので、太陽と地球の平均の距離を 1 とする単位を使います。これを天文単位といい、au と書きます(約 1.5 × 1011 m、およそ 1 億 5000 万 km です)。地球の近日点の距離は 0.983 au、遠日点の距離は 1.017 au です。地球の半長軸は、a = (0.983 + 1.017) ÷ 2 = 1.00 au です。近日点と遠日点の距離の差は、0.034 au しかありません。実際の惑星の軌道は、円とほとんど見分けがつかない楕円です。
下の図で、画びょうの間の距離を変えて楕円を描き、形がどう変わるかを確かめます。
糸の長さは 10 cm です。
やってみよう
画びょうの間の距離を 0.0 cm にして、「描く」を押してください。どんな形が描けましたか。左の画びょうから一番近い点と一番遠い点までの距離を読んで、比べてください。
円が描けます。一番近い点までも一番遠い点までも 5.0 cm で、どこも画びょうから同じ距離です。円は、2 つの焦点が重なった楕円です。画びょうの間を広げるほど、細長い楕円になります。
確認
太陽は、惑星の楕円の軌道の中心にありますか。
いいえ。太陽があるのは焦点の 1 つで、中心からずれた所です。
例題
ある小惑星は、太陽のまわりを楕円の軌道で回っています。近日点の距離は 1.0 au、遠日点の距離は 3.0 au です。この軌道の半長軸を求めなさい。
答え: 2.0 au
太陽と惑星を結ぶ線が、同じ時間に描く面積は等しくなります。これをケプラーの第2法則といいます。
惑星は、楕円の上を一定の速さで回るのではありません。太陽に近い所では速く、太陽から遠い所ではゆっくり動きます。地球も、太陽に一番近づく 1 月の初めには、一番遠ざかる 7 月の初めより少し速く動いています。地球の軌道はほぼ円なので、この違いはわずかです。細長い楕円の軌道を回る天体なら、違いがはっきり見えます。
動きは速めて見せています。違いが見えるように、細長い楕円の軌道にしています。
太陽と惑星を線で結び、惑星が動くと、その線は扇のような形を描きます。この形を、このページでは扇形と呼びます。太陽に近い所では線が短く、遠い所では線が長くなります。ケプラーは、太陽と惑星を結ぶ線が同じ時間に描く面積は、軌道のどこでも等しいことを見つけました。これをケプラーの第2法則といいます。1 s あたりに描く面積を面積速度といいます。そのため、第2法則は「面積速度一定の法則」とも呼ばれます。
近日点と遠日点の 2 か所では、惑星の進む向きが、太陽と惑星を結ぶ線にちょうど垂直です。ごく短い時間なら、惑星はほぼまっすぐ進むので、扇形は細い直角三角形と見なせます。この三角形は、底辺が「進んだ道のり」、高さが「太陽からの距離」です。
近日点の距離が 1.0 au、遠日点の距離が 2.0 au の軌道を考えます。近日点で、ある短い時間に 0.040 au 進んだとします。三角形の面積は、12 × 1.0 × 0.040 = 0.020 au2 です。遠日点でも、同じ時間に描く面積は 0.020 au2 です。高さが 2.0 au なので、進む道のりは 0.020 × 2 ÷ 2.0 = 0.020 au です。同じ時間に進む道のりが 12 なので、遠日点の速さは近日点の速さの 12 です。
近日点での太陽からの距離を r1、速さを v1 とします。遠日点での距離を r2、速さを v2 とします。小さい数字の 1 と 2 は、近日点と遠日点を区別するための番号です。ごく短い時間を Δt(デルタ ティー)と書きます。Δt で「短い時間の幅」を表します。
2 つの三角形の面積は等しくなります。縦の線は、見やすいように長く描いています。
近日点では、Δt の間に v1Δt だけ進みます(速さ × 時間 = 道のり)。三角形の面積は 12 × r1 × v1Δt です。遠日点では、同じように 12 × r2 × v2Δt です。第2法則から、この 2 つは等しいので、12r1v1Δt = 12r2v2Δt です。両辺の 12 と Δt を消すと、次の式になります。
この式が使えるのは、進む向きが太陽への線に垂直な、近日点と遠日点だけです。
下の図で、軌道の別々の場所で、同じ時間に描く扇形の面積と、惑星が進む道のりを比べます。
軌道は、上の絵と同じ細長い楕円です。扇形は、どれも周期の 1/12 の時間に描いたものです。
やってみよう
「近日点のあたり」のボタンを押してから「公転させる」を押し、面積と道のりを読んでください。次に「遠日点のあたり」のボタンを押して、もう一度「公転させる」を押してください。2 つの扇形の面積は、それぞれいくつですか。近日点のあたりで進んだ道のりは、遠日点のあたりで進んだ道のりの約何倍ですか。
面積はどちらも 0.91 au² です。道のりは、近日点のあたりが 1.76 au、遠日点のあたりが 0.61 au で、1.76 ÷ 0.61 = 2.88… なので約 2.9 倍です。近日点の扇形は短くて幅が広く、遠日点の扇形は長くて細い形です。(この扇形は、細い三角形と見なせるほど短い時間に描いたものではないため、距離の比 3.0 ÷ 1.0 = 3 倍ちょうどにはなりません。)
確認
遠日点での惑星の速さは、近日点での速さより大きいですか、小さいですか。
小さいです。遠日点は太陽から遠く、同じ面積を描くのに短い道のりで足りるからです。
例題
ある恒星(太陽のように自分で光っている星)のまわりを、惑星が楕円の軌道で回っています。近日点では恒星から 1.0 au の所を速さ 30 km/s で通り、遠日点は恒星から 3.0 au の所です。遠日点での惑星の速さを求めなさい。
答え: 10 km/s
太陽のまわりを回る惑星では、公転周期 T の2乗と半長軸 a の3乗の比 T2/a3 が、どの惑星でも同じになります。これをケプラーの第3法則といいます。
公転周期を、記号 T で表します。このページでは、T を「年」で測ります。地球の公転周期は 1.00 年です。
太陽から遠い惑星ほど、公転周期は長くなります。では、半長軸が 2 倍、3 倍になると、周期も 2 倍、3 倍になるのでしょうか。木星の半長軸は 5.20 au で、地球の 5.20 倍です。ところが、木星の公転周期は 11.9 年で、地球の 11.9 倍です。周期は、半長軸に比例する場合よりも大きく増えます。
表示の年数は実際の年数です(1 年を 1.5 秒に縮めて見せています)。太陽と惑星の大きさは縮尺どおりではありません。
そこで、a を 3 乗した a3 と、T を 2 乗した T2 を、6 つの惑星で計算します。a は au で、T は年で測ります。
| 惑星 | 半長軸 a [au] | 公転周期 T [年] | a3 | T2 | T2/a3 |
|---|---|---|---|---|---|
| 水星 | 0.387 | 0.241 | 0.0580 | 0.0581 | 1.00 |
| 金星 | 0.723 | 0.615 | 0.378 | 0.378 | 1.00 |
| 地球 | 1.00 | 1.00 | 1.00 | 1.00 | 1.00 |
| 火星 | 1.52 | 1.88 | 3.51 | 3.53 | 1.01 |
| 木星 | 5.20 | 11.9 | 141 | 142 | 1.01 |
| 土星 | 9.54 | 29.5 | 868 | 870 | 1.00 |
a・T は実際の値を 3 桁に丸めたものです。
たとえば火星では、a3 = 1.52 × 1.52 × 1.52 ≒ 3.51、T2 = 1.88 × 1.88 ≒ 3.53 です。T2/a3 = 3.53 ÷ 3.51 ≒ 1.01 で、ほぼ 1 です。半長軸が 0.387 au の水星から 9.54 au の土星まで、T2/a3 はどれも約 1.0 です。
点は、表の a3 と T2 の値です。破線は T2 = a3 の直線です。
拡大したグラフの火星の点(3.51, 3.53)は、「火星の a3 は 3.51、T2 は 3.53」という意味です。6 つの点は、どれも原点を通る 1 本の直線の上に並びます。直線の上では、a3 が 2 倍になると T2 も 2 倍になります。T2 は a3 に比例しています。
太陽のまわりを回る惑星では、公転周期の 2 乗と半長軸の 3 乗の比が、どの惑星でも同じです。これをケプラーの第3法則といいます。
a を au、T を年で測ると、太陽のまわりを回る天体では、この一定の値は 1 です。だから、T2 = a3 として計算できます。小惑星や彗星のように、惑星でなくても、太陽のまわりを回る天体なら同じ式が使えます。
T2/a3 が同じ値になるのは、同じ天体のまわりを回るものどうしです。地球のまわりを回る月では、a = 0.00257 au、T = 0.0748 年で、T2/a3 ≒ 3.30 × 105 になり、1 ではありません。
確認
半長軸が大きい惑星ほど、公転周期は長いですか。
はい。T2 = a3 なので、a が大きいほど T も大きくなります。
例題
太陽のまわりを回る小惑星の軌道の半長軸は 4.0 au です。この小惑星の公転周期は何年ですか。a を au、T を年で測ると、T2/a3 = 1 です。
答え: 8.0 年
問1ある小惑星は、太陽のまわりを楕円の軌道で回っています。近日点の距離は 0.80 au、遠日点の距離は 2.4 au です。この軌道の半長軸を求めなさい。
1.6 au
長軸の長さ = 近日点の距離 + 遠日点の距離 = 0.80 + 2.4 = 3.2 au。半長軸 a = 3.2 ÷ 2 = 1.6 au
問2ある彗星の軌道の半長軸は 3.0 au で、近日点の距離は 1.2 au です。遠日点の距離を求めなさい。
4.8 au
長軸の長さは 2a = 2 × 3.0 = 6.0 au。長軸の長さ = 近日点の距離 + 遠日点の距離 なので、遠日点の距離 = 6.0 − 1.2 = 4.8 au
問3ある恒星のまわりを、惑星が楕円の軌道で回っています。近日点では恒星から 0.50 au の所を速さ 40 km/s で通り、遠日点は恒星から 2.5 au の所です。遠日点での惑星の速さを求めなさい。
8.0 km/s
r1v1 = r2v2 に r1 = 0.50 au、v1 = 40 km/s、r2 = 2.5 au を入れて、0.50 × 40 = 2.5 × v2。v2 = 20 ÷ 2.5 = 8.0 km/s
問4ある彗星は、近日点での速さが、遠日点での速さの 3.0 倍です。近日点の距離は 0.60 au です。遠日点の距離と、軌道の半長軸を求めなさい。
遠日点の距離 1.8 au、半長軸 1.2 au
v1 = 3.0 × v2 を r1v1 = r2v2 に入れると、0.60 × 3.0 × v2 = r2 × v2。両辺の v2 を消して、r2 = 0.60 × 3.0 = 1.8 au。半長軸 a = (0.60 + 1.8) ÷ 2 = 2.4 ÷ 2 = 1.2 au
問5太陽のまわりを回る小惑星の軌道の半長軸は 9.0 au です。この小惑星の公転周期は何年ですか。a を au、T を年で測ると、T2/a3 = 1 です。必要なら 9.0 = 3 × 3 を使いなさい。
27 年
T2 = a3 = 9.0 × 9.0 × 9.0 = (3 × 3) × (3 × 3) × (3 × 3)。並べ替えると (3 × 3 × 3) × (3 × 3 × 3) = 27 × 27 なので、T = 27 年
問6太陽のまわりを回る彗星の公転周期は 64 年で、近日点の距離は 2.0 au です。遠日点の距離を求めなさい。a を au、T を年で測ると、T2/a3 = 1 です。必要なら 64 = 4 × 4 × 4 を使いなさい。
30 au
a3 = T2 = 64 × 64 = (4 × 4 × 4) × (4 × 4 × 4)。並べ替えると (4 × 4) × (4 × 4) × (4 × 4) = 16 × 16 × 16 なので、半長軸 a = 16 au。長軸の長さは 2a = 2 × 16 = 32 au。遠日点の距離 = 32 − 2.0 = 30 au
要点
物理 第5章 万有引力