公式
往復運動の大きさは振幅、1 往復の時間は周期、1 s あたりの往復の回数は振動数で表します。
天井からつるしたばねの下に、おもりを付けます。おもりを少し下へ引いて放すと、おもりは上下に行ったり来たりします。このように、同じ所を行ったり来たりする運動を振動といいます。
往復の真ん中の位置を、振動の中心といいます。振動の中心を原点にします。このページでは、上を正の向きとします。おもりの位置を、振動の中心から測って x と書きます。x = +0.10 m は「振動の中心より 0.10 m 上にいる」、x = −0.10 m は「振動の中心より 0.10 m 下にいる」という意味です。
おもりが振動の中心を上向きに通る瞬間を、時刻 t = 0 とします。
あるおもりの位置を、0.50 s ごとに調べると、次の表のようになりました。
| 時刻 t(s) | 0 | 0.50 | 1.0 | 1.5 | 2.0 |
|---|---|---|---|---|---|
| 位置 x(m) | 0 | +0.10 | 0 | −0.10 | 0 |
0 s に中心を上向きに通ったおもりは、0.50 s 後に中心より 0.10 m 上の端に着き、そこで向きを変えます。1.0 s 後に中心を下向きに通り、1.5 s 後に中心より 0.10 m 下の端に着きます。2.0 s 後に、中心を上向きに通ります。0 s と同じ様子に戻りました。
振動の中心から端までの距離を、振幅といい、記号 A で表します。単位は m です。このおもりの振幅は A = 0.10 m です。上の端から下の端までの 0.20 m ではありません。
紫の短い矢印は、おもりが動いている向きです。上の端と下の端では、おもりは一瞬止まって向きを変えます。
1 往復にかかる時間を、周期といい、記号 T で表します。単位は s です。1 往復は、中心 → 上の端 → 中心 → 下の端 → 中心 と動いて、もとの様子に戻るまでです。このおもりの周期は T = 2.0 s です。円運動では、1 周にかかる時間を周期と呼びます。振動では、1 往復にかかる時間が周期です。
1 s あたりに往復する回数を、振動数といい、記号 f で表します。振動数の単位は Hz と書き、「ヘルツ」と読みます。1 Hz は、1 s に 1 往復することです。
このおもりは、1 往復に 2.0 s かかるので、1 s ではその半分の 0.50 往復しかしません。だから、振動数は f = 1 ÷ 2.0 = 0.50 Hz です。振動数と周期は、次の関係です。
確認
振幅が 0.15 m の振動で、おもりが上の端から下の端まで動く距離は何 m ですか。
0.30 m です。振幅は、振動の中心から端までの距離だからです。
例題
ばねにつるしたおもりが、上下に 10 往復するのに 6.0 s かかりました。この振動の周期と振動数を求めなさい。
答え: 周期 0.60 s、振動数 1.7 Hz
縦の面で等速円運動をしている玉を、真横から水平な光で照らすと、影は上下に往復します。この影のような往復運動を単振動といいます。
項目1 の表では、おもりの位置を 0.50 s ごとにしか調べていません。その間の時刻の位置を求めるには、往復の動きを式で表す必要があります。一定の速さで円の上を回る運動を、等速円運動といいます。等速円運動は、1 s あたりに回る角(角速度)を使って、式で表せます。そこで、等速円運動を使って、往復の動きを表します。
観覧車のように、縦に立てて回る円板を考えます。円板の縁に、小さな玉を付けます。円板は一定の速さで回るので、玉は等速円運動をします。円板の左から、水平な光を当てます。円板の右には、縦に立てたスクリーンを置きます。
光は水平に進むので、スクリーンの影は、いつも玉と同じ高さにできます。玉が円の上を回ると、影はスクリーンの上を上下にだけ動きます。等速円運動を真横から照らした影のような往復運動を、単振動といいます。
下の動画では、スクリーンの右に、項目1 と同じような、ばねにつるしたおもりを並べます。円板の半径と、おもりの振幅はそろえてあります。影の動きとおもりの動きを比べてください。
やってみよう
(1) 前半を見てください。玉が右の端から 1 周して右の端に戻るまでに、画面の t は何 s 進みましたか。その間に、おもりは何往復しましたか。(2) 後半(0:07 から)を見てください。影とおもりをつなぐ点線は、いつも水平ですか。
(1) 3.0 s、1 往復です。(2) いつも水平です。
動画では、影とおもりは、どの時刻でも同じ高さにありました。玉が 1 周する 3.0 s の間に、おもりはちょうど 1 往復しました。ばねにつるしたおもりは、等速円運動の影と同じ動きをしています。だから、おもりの運動も単振動です。
影のもとになった円運動の半径は、単振動の振幅 A と同じです。円運動の周期は、単振動の周期 T と同じです。
円運動で 1 s あたりに回る角を、角速度といい、ω(オメガ)で表します。単位は rad/s(ラジアン毎秒)です。rad(ラジアン)は角の単位で、1 周 360° が 2π rad です。影のもとになった円運動の角速度 ω を、単振動では角振動数といいます。
確認
円板の回る速さを 2 倍にすると、影の往復の周期はどうなりますか。
半分になります。影の往復の周期は、玉が 1 周する時間と同じだからです。
単振動の位置は、x = A sin ωt で表せます。sin ωt は、円の上の点の高さ ÷ 半径です。
円の上を回る点を P とします。P は時刻 0 に円の右の端にいて、反時計回りに回ります。角速度 ω は 1 s あたりに回る角なので、時間 t で回る角は ω × t です。この角を θ(シータ)と書くと、θ = ωt です。だから、時刻 t には、P は右の端から角 ωt だけ回った所にいます。角は、円の中心から右へ引いた線から、反時計回りに測ります。
影の位置 x は、P の高さと同じです。P の高さは、円の中心の高さから測ります。角が 0° と 90° の間のとき、P から、中心を通る水平の線へ縦の線を下ろすと、直角三角形ができます。半径 A が斜辺で、P の高さが三角形の高さです。三角比では、sin θ(サイン・シータ)= 高さ ÷ 斜辺 です。だから、P の高さは A sin θ です。たとえば、半径 A = 0.20 m で角が 30° なら、sin 30° = 0.50 なので、P の高さは 0.20 × 0.50 = 0.10 m です。
90° を超えると、直角三角形の角としては sin を決められません。そこで、どんな角でも、sin θ = (P の高さ)÷(半径) と決めます。P が円の中心より下にあるときは、高さを負とします。角が 90° 以下のときは、直角三角形で求めた sin と同じ値になります。
角が 150° のとき、P は円の左上にいます。高さは 30° のときと同じ +0.10 m です。だから、sin 150° = 0.10 ÷ 0.20 = 0.50 です。角が 210° のとき、P は円の左下にいます。高さは中心より 0.10 m 下なので −0.10 m です。だから、sin 210° = −0.10 ÷ 0.20 = −0.50 です。
半径 0.20 m の円です。高さは円の中心から測り、中心より上を正、下を負とします。
決まった角の sin は、次のようになります。
| 角 θ | 0° | 30° | 90° | 150° | 180° | 210° | 270° | 330° | 360° |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| sin θ | 0 | 0.50 | 1 | 0.50 | 0 | −0.50 | −1 | −0.50 | 0 |
影の位置 x は P の高さで、P の高さは A ×(回った角の sin)です。回った角は ωt なので、単振動の位置は次の式で表せます。
P は、1 周の角 2π rad を、周期 T で回ります。だから、1 s あたりに回る角は ω = 2π/T です。影の往復の周期も同じ T なので、単振動の角振動数も次の式で求められます。
たとえば、周期 1.2 s の単振動では、ω = 2π/1.2 = 5π/3 rad/s です。0.10 s では、ωt = 5π/3 × 0.10 = π/6 rad 回ります。項目1 の振動数 f = 1/T を使うと、ω = 2πf とも書けます。
ωt は、ラジアンで表した角です。sin の値は、度に直してから上の表で読みます。半円の角が π rad = 180° です。だから、π/6 rad は 180° ÷ 6 = 30° です。たとえば、半径 A = 0.20 m、周期 1.2 s の単振動の、t = 0.10 s の位置は、x = 0.20 × sin 30° = 0.20 × 0.50 = +0.10 m です。
下の図の右には、横軸に時刻 t、縦軸に位置 x をとったグラフ(x-t グラフ)を描きます。グラフの1点 (t, x) は、時刻 t に、影(おもり)が x の位置にいることを表します。たとえば点 (0.10 s, +0.10 m) は、「0.10 s 後に、振動の中心より 0.10 m 上にいる」という意味です。
おもりを上の端で放した瞬間を時刻 0 にすると、式の形が変わります。このページでは、いつも振動の中心を上向きに通る瞬間を時刻 0 にします。
下の図は、項目2 の動画と同じ、縦に回る円板と影の図です。ただし、円板は半径 0.20 m、1 周 1.2 s にしてあります。時刻を 0.10 s ずつ進めて、影の位置 x を読みます。
半径 0.20 m、1 周 1.2 s の円です。0.10 s ごとに 30° 回ります。
やってみよう
時刻 t を動かして、位置 x が −0.17 m になる時刻を 2 つ探してください。その 2 つの時刻のちょうど真ん中の時刻に、影はどこにいますか。
0.80 s と 1.00 s です(角は 240° と 300°)。真ん中の 0.90 s には、x = −0.20 m で、影は下の端にいます。下の端の前と後で、同じ位置を 1 回ずつ通ります。
確認
角が 200° のとき、sin 200° は正ですか、負ですか。
負です。200° の点 P は、円の中心より下にあるからです。
例題
振幅 0.40 m、周期 2.4 s の単振動をしているおもりがあります。おもりが振動の中心を上向きに通った時刻を t = 0 とします。t = 0.20 s と t = 1.4 s のおもりの位置 x を求めなさい。sin 30° = 0.50 を使ってかまいません。
答え: t = 0.20 s で +0.20 m(振動の中心より 0.20 m 上)、t = 1.4 s で −0.20 m(振動の中心より 0.20 m 下)
円周率は 3.14 とします。上を正の向きとし、振動の中心を上向きに通る瞬間を t = 0 とします。
問1振動数 2.5 Hz で上下に振動しているおもりがあります。この振動の周期を求めなさい。また、8.0 s の間に、おもりは何往復しますか。
周期 0.40 s、20 往復
T = 1/f = 1 ÷ 2.5 = 0.40 s。1 s に 2.5 往復するので、8.0 s では 2.5 × 8.0 = 20 往復
問2振幅 0.050 m、振動数 0.50 Hz で上下に振動しているおもりがあります。おもりが振動の中心を上向きに通った時刻を t = 0 とします。t = 0 の後、おもりが初めて下の端に着くのは何 s 後ですか。また、それまでにおもりが動いた道のりは何 m ですか。
1.5 s 後、0.15 m
周期は T = 1/f = 1 ÷ 0.50 = 2.0 s。1 往復(中心 → 上の端 → 中心 → 下の端 → 中心)を 4 つに分けると、1 つ分は 2.0 ÷ 4 = 0.50 s。初めて下の端に着くのは、中心 → 上の端 → 中心 → 下の端 の 3 つ分なので、0.50 × 3 = 1.5 s 後。道のりは、振幅 3 つ分の 0.050 × 3 = 0.15 m
問3振幅 0.10 m、周期 1.2 s の単振動をしているおもりがあります。角振動数 ω と、t = 0.50 s のおもりの位置 x を求めなさい。sin 30° = 0.50 を使ってかまいません。
角振動数 5.2 rad/s、位置 +0.050 m(振動の中心より 0.050 m 上)
ω = 2π/T = 2 × 3.14 ÷ 1.2 = 5.23… ≒ 5.2 rad/s。角を求めるときは、ω は丸めずに使います。t = 0.50 s の角は、ωt = 2π/1.2 × 0.50 = 5π/6 rad = 150°。150° の点は円の左上にあり、高さは 30° のときと同じなので、sin 150° = 0.50。x = 0.10 × 0.50 = +0.050 m
問4ある単振動の位置が、x = 0.30 sin(π/3 × t)(x の単位は m、t の単位は s)で表されます。この単振動の振幅、周期、振動数を求めなさい。
振幅 0.30 m、周期 6.0 s、振動数 0.17 Hz
x = A sin ωt と比べると、A = 0.30 m、ω = π/3 rad/s。周期は T = 2π/ω = 2π ÷ (π/3) = 6.0 s(π は消えます)。振動数は f = 1/T = 1 ÷ 6.0 = 0.166… ≒ 0.17 Hz
公式
物理 第4章 円運動と単振動