ゼロからの高校物理 / 物理 / 円運動と単振動

単振動(速度・加速度,復元力)

公式

速度v = Aω cos ωt速さの最大は Aω です。
加速度a = −ω2x加速度の大きさの最大は Aω2 です。
復元力F = −KxK は正の比例定数で、単位は N/m です。
周期T = 2π√mK復元力が F = −Kx のときです。

1速度と加速度

単振動の速度は v = Aω cos ωt、加速度は a = −ω2x です。加速度は、振動の中心では 0 で、それ以外ではいつも振動の中心を向きます。

観覧車のように縦に立てて回る円板の縁に、点 P を付けます。円板は一定の速さで回るので、P は等速円運動をします。円板の左から水平な光を当てると、右のスクリーンに映る P の影は、上下に往復します。このような往復運動を単振動といいます。

影の往復の真ん中を振動の中心とし、そこを原点にします。このページでは上を正の向きとし、影が振動の中心を上向きに通る瞬間を t = 0 とします。このとき P は円の右の端にいて、反時計回りに回ります。影の往復の振幅 A(振動の中心から端までの距離)は、円の半径と同じです。

縦に回る円板の縁の点Pに左から水平な光を当て、右のスクリーンにPの影が映る絵。影は円板の一番上と一番下の高さの間を上下に往復する 光 P スクリーン 上の端 下の端 振動の中心 影

周期 T は、1 往復にかかる時間です。P が 1 周する時間と同じです。角は、ラジアン(rad)という単位でも表します。1 周 360° が 2π rad、半周 180° が π rad です。P が 1 s あたりに回る角を ω(オメガ)と書き、単振動では角振動数と呼びます。単位は rad/s です。1 周の角 2π rad を周期 T で回るので、ω = 2π/T です。時刻 t までに P が回った角は ωt です。

影の位置 x は P の高さで、x = A sin ωt と表せます。sin θ(サイン・シータ)は、どんな角 θ でも「P の高さ ÷ 半径」で決めます。高さは円の中心から測り、P が中心より下にあるときは負です。たとえば、sin 30° = sin 150° = 0.50、sin 210° = −0.50 です。

円運動で 1 s あたりに回る角を、角速度といいます。半径 r、角速度 ω の等速円運動では、速さは rω、加速度の大きさは rω2 です。加速度は、いつも円の中心を向きます。影のもとの円運動は、半径 A、角速度 ω なので、P の速さは Aω、P の加速度の大きさは Aω2 です。速度の矢印は、P での円の接線の向き(半径に垂直な向き)です。加速度の矢印は、P から円の中心を向きます。

影は上下にしか動きません。P の速度の矢印のうち、影の速度になるのは、縦の成分だけです。加速度も同じで、影の加速度は、P の加速度の矢印の縦の成分です。上向きを正として、縦の成分に符号を付けます。

P が 60° の所にいるとき、中心から P への半径の矢印は、横に A × 0.50、縦に A × 0.87 の成分をもちます(三角比の cos 60° = 0.50、sin 60° ≒ 0.87。cos はコサインと読みます)。速度の矢印は、この半径の矢印を反時計回りに 90° 回した向きで、長さは Aω です。長さが A から Aω になるので、成分もそれぞれ ω 倍になります。90° 回すと、横の成分は縦に、縦の成分は横に入れかわります。だから、速度の縦の成分は Aω × 0.50 で、上向きです。

O 横の成分 A × 0.50 60° P 縦の成分 Aω × 0.50 速度(速さ Aω) 半径を 90° 回すと速度の向き

速度の矢印は、半径の矢印を 90° 回した向きです。半径の横の成分と、速度の縦の成分が対応します。

ほかの角でも同じで、速度の縦の成分は、Aω ×(P の横の位置 ÷ 半径)です。P の横の位置は、円の中心から測り、右を正とします。

cos も、sin と同じように、どんな角でも cos θ = (P の横の位置)÷(半径) と決めます。P が円の中心より左にあるときは、横の位置を負とします。角が 120° のとき、P は円の左上にいて、横の位置は −A × 0.50 です。だから、cos 120° = −0.50 です。このとき、P は左下へ進んでいるので、速度の縦の成分は下向き(負)です。cos 120° が負であることと合っています。

速度の縦の成分は、速さ Aω × cos(回った角)です。だから、単振動の速度は次の式で表せます。

v = Aω cos ωt

例として、A = 0.30 m、ω = 2.0 rad/s の単振動を考えます。円運動の速さは Aω = 0.30 × 2.0 = 0.60 m/s です。ωt = 60° のとき、v = 0.60 × cos 60° = 0.60 × 0.50 = +0.30 m/s で、上向きです。ωt = 120° のとき、v = 0.60 × cos 120° = 0.60 × (−0.50) = −0.30 m/s で、下向きです。cos の値は −1 から +1 の間なので、速さの最大は Aω です。

P の加速度の矢印は、P から円の中心を向いています。これは、中心から P へ向かう半径の矢印と逆向きです。半径の矢印の長さは A、加速度の矢印の長さは Aω2 です。加速度の矢印は、半径の矢印を逆向きにして、長さを ω2 倍したものです。半径の矢印の縦の成分は、P の高さ、つまり x です。だから、加速度の縦の成分は、x を逆向きにして ω2 倍した −ω2x です。

a = −ω2x

マイナスは、加速度が x と逆向きであることを表します。x が正(中心より上)なら a は負(下向き)、x が負(中心より下)なら a は正(上向き)です。どちらも振動の中心を向いています。A = 0.30 m、ω = 2.0 rad/s の例で、ωt = 30° のとき、x = 0.30 × 0.50 = +0.15 m なので、a = −2.02 × 0.15 = −0.60 m/s² で、下向きです。x の大きさの最大は A なので、加速度の大きさの最大は Aω2 です。

下の図は、場面の絵と同じ、縦に回る円板と影の図です。円板は半径 0.20 m、1 周 1.2 s にしてあり、P の速度と加速度の矢印を描いています。時刻を変えて、影の速度と加速度を読みます。

半径0.20メートル、周期1.2秒で回る点Pの速度の矢印と、中心向きの加速度の矢印。スクリーンの影には、その縦の成分を矢印で描く。時刻を変えると、影の位置、速度、加速度を表示する 加速度 速度 v a

半径 0.20 m、1 周 1.2 s の円です。影の紫と橙の矢印は、P の速度と加速度の縦の成分です。速度と加速度で矢印の縮尺は違います。

位置 x 速度 v 加速度 a

やってみよう

時刻 t を 0.00 s から 0.60 s まで 1 コマずつ進めて、速度 v と加速度 a の表示を読んでください。速さ(v の大きさ)がいちばん大きい時刻と、加速度の大きさがいちばん大きい時刻を探してください。それぞれの時刻に、影はどこにいますか。

分かること

速さがいちばん大きいのは 0.00 s と 0.60 s(1.05 m/s)で、影は振動の中心(x = 0.00 m)にいます。加速度の大きさがいちばん大きいのは 0.30 s(5.5 m/s²)で、影は上の端(x = +0.20 m)にいます。

確認

位置 x が正のとき、加速度はどちら向きですか。

答え

下向きです。a = −ω2x で、x と逆向きだからです。

例題

振幅 0.10 m、角振動数 4.0 rad/s の単振動をしているおもりがあります。おもりの速さの最大値と、加速度の大きさの最大値を求めなさい。

  1. 速さの最大値は、Aω = 0.10 × 4.0 = 0.40 m/s です。
  2. 加速度の大きさの最大値は、Aω2 = 0.10 × 4.02 = 1.6 m/s² です。

答え: 速さの最大値 0.40 m/s(振動の中心)、加速度の大きさの最大値 1.6 m/s²(上の端と下の端)

2復元力と周期

振動の中心からの距離に比例し、中心を向く力を復元力といいます。復元力 F = −Kx がはたらくと単振動になり、周期は T = 2π√mK です。

運動方程式 ma = F は、「質量 × 加速度 = 合力」です。単振動の加速度は a = −ω2x なので、おもりにはたらく力の合力は F = m × (−ω2x) = −mω2x です。項目1 の例題のおもり(振幅 0.10 m、ω = 4.0 rad/s)の質量が 0.50 kg だとします。上の端 x = +0.10 m では、a = −4.02 × 0.10 = −1.6 m/s² なので、合力は F = 0.50 × (−1.6) = −0.80 N です。合力は下向きに 0.80 N です。

合力 F = −mω2x の大きさは、振動の中心からの距離に比例します。向きは、振動の中心以外では、いつも中心を向きます。このような力を復元力といいます。「もとの位置(振動の中心)へ戻そうとする力」という意味です。

比例の定数を K と書き、復元力を F = −Kx と表します。K は正の数です(ここでの K は、運動エネルギーではありません)。単位は N/m です。上の 0.50 kg のおもりでは、K = mω2 = 0.50 × 4.02 = 8.0 N/m です。

K = 8.0 N/m のとき、いろいろな位置での復元力は、次の表のようになります。上向きを正とします。

位置 x(m)−0.10−0.0500+0.050+0.10
復元力 F(N)+0.80+0.400−0.40−0.80

表の符号を見ると、x が 0 でない所では、x と F はいつも逆の符号です。中心から 2 倍離れると、力も 2 倍になります。

復元力 0.80 N x = +0.10 m 復元力 0.40 N x = −0.050 m x [m] F [N] −0.10 −0.05 0 +0.05 +0.10 +0.80 +0.40 −0.40 −0.80 中心より 0.10 m 上 → 下向きに 0.80 N

K = 8.0 N/m の復元力です。グラフでは、位置 x を横軸にとっています。上向きを正とします。

グラフの点 (+0.10 m, −0.80 N) は、「振動の中心より 0.10 m 上にいるとき、下向きに 0.80 N の復元力がはたらく」という意味です。直線は原点を通り、右下がりです。

逆に、質量 m の物体に、復元力 F = −Kx がはたらくとします。運動方程式 ma = −Kx から、a = −(K/m)x です。これを単振動の a = −ω2x と比べると、ω2 = K/m です。だから、この物体は単振動をして、角振動数は ω = √K/m です。周期は、ω = 2π/T を書き直した T = 2π/ω から、次の式になります。

T = 2π√mK

√K/m で割ることは、分数をひっくり返した √m/K を掛けることと同じです。たとえば K/m = 16 なら、√16 = 4.0 で割ることと、√1/16 = 0.25 を掛けることは同じです。

m = 0.50 kg、K = 8.0 N/m なら、K/m = 16 なので、ω = √16 = 4.0 rad/s です。周期は、T = 2π√0.50/8.0 = 2 × 3.14 × 0.25 = 1.57 s です。与えた数が 2 桁なので、答えも 2 桁に丸めて ≒ 1.6 s と書きます。

T = 2π√m/K には、振幅 A が入っていません。だから、単振動の周期は、振幅によらず、質量 m と K だけで決まります。

振幅を 2 倍にすると、1 往復の道のりは 2 倍になります。一方、v = Aω cos ωt の A も 2 倍になるので、同じ時刻どうしで比べた速さも 2 倍です。2 倍の道のりを 2 倍の速さで進むので、1 往復にかかる時間は変わりません。

確認

復元力が 0 になるのは、おもりがどこにいるときですか。

答え

振動の中心にいるときです。復元力は、振動の中心からの距離に比例するからです。

例題

質量 0.072 kg の物体に、復元力 F = −80x(F の単位は N、x の単位は m)がはたらいて、単振動をしています。この単振動の周期を求めなさい。

  1. F = −Kx と比べると、K = 80 N/m です。
  2. T = 2π√m/K に入れると、T = 2 × 3.14 × √0.072/80 です。
  3. 0.072 ÷ 80 = 0.0009 で、√0.0009 = 0.030 です。
  4. T = 2 × 3.14 × 0.030 = 0.1884 s なので、2 桁に丸めて ≒ 0.19 s です。

答え: 0.19 s

練習問題

円周率は 3.14 とします。上を正の向きとし、振動の中心を上向きに通る瞬間を t = 0 とします。

パターン1 速度・加速度

問1振幅 0.20 m、周期 2.0 s の単振動をしているおもりがあります。おもりの速さの最大値と、加速度の大きさの最大値を求めなさい。

答えを見る

速さの最大値 0.63 m/s、加速度の大きさの最大値 2.0 m/s²

ω = 2π/T = 2 × 3.14 ÷ 2.0 = 3.14 rad/s。速さの最大値は Aω = 0.20 × 3.14 = 0.628 ≒ 0.63 m/s。加速度の大きさの最大値は Aω2 = 0.20 × 3.142 = 1.97… ≒ 2.0 m/s²

問2振幅 0.20 m、周期 0.90 s の単振動をしているおもりがあります。(1) おもりの速さの最大値を求めなさい。(2) t = 0.30 s のおもりの速度を、向きも含めて求めなさい。(3) t = 0.30 s のおもりの加速度を、向きも含めて求めなさい。cos 60° = 0.50、sin 60° ≒ 0.866 を使ってかまいません。

答えを見る

(1) 1.4 m/s (2) 下向きに 0.70 m/s (3) 下向きに 8.4 m/s²

ω = 2π/T = 2 × 3.14 ÷ 0.90 = 6.97… rad/s。(1) 速さの最大値は Aω = 0.20 × 6.97… = 1.39… ≒ 1.4 m/s。(2) t = 0.30 s の角は、ωt = 2π/0.90 × 0.30 = 2π/3 rad = 120°。120° の点は円の左上にあり、横の位置は 60° のときと同じ大きさで左側なので、cos 120° = −0.50。v = Aω cos ωt = 1.39… × (−0.50) = −0.69… ≒ −0.70 m/s。負なので下向き。(3) 120° の点の高さは 60° のときと同じなので、sin 120° = sin 60° ≒ 0.866。位置は x = 0.20 × 0.866 = +0.173… m(振動の中心より上)。ω は丸めずに使います。a = −ω2x = −6.97…2 × 0.173… = −8.43… ≒ −8.4 m/s²。負なので下向き(振動の中心の向き)

パターン2 復元力と周期

問3質量 0.40 kg の物体に、復元力 F = −Kx(K = 10 N/m)がはたらいて、単振動をしています。周期を求めなさい。

答えを見る

1.3 s

T = 2π√m/K = 2 × 3.14 × √0.40/10 = 2 × 3.14 × √0.040 = 2 × 3.14 × 0.20 = 1.256 ≒ 1.3 s

問4質量 0.25 kg の物体が、復元力 F = −Kx を受けて、周期 0.50 s の単振動をしています。(1) K を求めなさい。(2) 同じ K のまま、物体の質量を 1.0 kg に替えると、周期は何 s になりますか。

答えを見る

(1) 39 N/m (2) 1.0 s

(1) T = 2π√m/K の両辺を2乗すると T2 = 4π2 × m/K なので、K = 4π2m/T2 = 4 × 3.142 × 0.25 ÷ 0.502 = 39.4… ≒ 39 N/m。(2) 質量が 1.0 ÷ 0.25 = 4 倍になると、√m/K は √4 = 2 倍になります。だから、周期も 2 倍の 0.50 × 2 = 1.0 s

つまずきやすいところ

まとめ

公式

速度v = Aω cos ωt速さの最大は Aω です。
加速度a = −ω2x加速度の大きさの最大は Aω2 です。
復元力F = −KxK は正の比例定数で、単位は N/m です。
周期T = 2π√mK復元力が F = −Kx のときです。

物理 第4章 円運動と単振動

  1. 等速円運動
  2. 等速円運動(向心力)
  3. 慣性力と遠心力
  4. 鉛直面内の円運動
  5. 単振動
  6. 単振動(速度・加速度,復元力)
  7. ばね振り子と単振り子
  8. 単振動のエネルギー
  9. 単振動の応用
  10. 単振動の応用(2)

高校物理の単元の一覧