ゼロからの高校物理 / 物理 / 円運動と単振動

単振動のエネルギー

要点

エネルギー12mv2 + 12kx2 = 12kA2x は振動の中心からの変位、A は振幅です。
速さの最大振動の中心(x = 0)で 12mv2 = 12kA2
鉛直のばね振り子x を、つり合いの位置から測るそうすれば、1行目の式がそのまま使えます。
位置エネルギーU重 + U弾 = 12kx2 + 12kd2鉛直のばね振り子。d はつり合いの位置でのばねの伸びで、12kd2 は動いても変わりません。

1水平のばね振り子のエネルギー

水平のばね振り子では、12mv2 + 12kx2 が一定に保たれます。その値は、端での 12kA2 です。

なめらかな水平の床の上に台車を置き、左の壁に固定したばねにつなぎます。台車の位置 x は、ばねが自然の長さのときの位置を 0 とし、右を正とします。x は、自然の長さからの伸び(負なら縮み)です。

台車を引いて静かに放すと、台車は x = 0 を中心に、左右に往復します(単振動)。往復の中心を振動の中心、中心から端までの距離を振幅 A といいます。1 往復にかかる時間を周期 T といいます。たとえば、ばね定数 50 N/m のばねに質量 2.0 kg の台車をつなぎ、x = +0.10 m まで引いて放したとします。振幅は A = 0.10 m です。

なめらかな床の上で、左の壁に固定したばね定数50ニュートン毎メートルのばねに2.0キログラムの台車をつなぎ、振動の中心から右へ0.10メートル引いた場面。床の下に、0、プラス0.080メートル、プラス0.10メートルの目盛りがある 2.0 kg k = 50 N/m 引いて静かに放す 0(振動の中心) +0.10 m(端) +0.080 m 正の向き

台車にはたらく力は、重力・垂直抗力・弾性力です。このうち仕事をするのは弾性力だけです(重力と垂直抗力は、動く向きと垂直です)。弾性力だけが仕事をするとき、運動エネルギー 12mv2 と、弾性力による位置エネルギー 12kx2 の和は一定に保たれます(力学的エネルギー保存の法則)。

12mv2 + 12kx2 = 一定

このページでは、運動エネルギーを K、弾性力による位置エネルギーを U と書きます。

台車が端(x = +A または x = −A)にあるとき、台車は一瞬止まるので、v = 0 です。だから、和の一定の値は、端での 12kA2 です。

12mv2 + 12kx2 = 12kA2

この台車(50 N/m、2.0 kg、A = 0.10 m)で確かめます。和の一定の値は 12kA2 = 12 × 50 × 0.102 = 0.25 J です。

x = +0.080 m の所では、U = 12 × 50 × 0.0802 = 0.16 J なので、K = 0.25 − 0.16 = 0.090 J です。12 × 2.0 × v2 = 0.090 から、v2 = 0.090 なので、v = 0.30 m/s です。

x = 0 の所では、U = 0 なので、K = 0.25 J です。12 × 2.0 × v2 = 0.25 から、v2 = 0.25 なので、v = 0.50 m/s です。

位置 x [m]+0.10(端)+0.0800(振動の中心)
U = 12kx2 [J]0.250.160
K = 12mv2 [J]00.0900.25
和 [J]0.250.250.25
速さ v [m/s]00.300.50

U は x = 0 で 0 になるので、そこで K がいちばん大きくなります。だから、速さは振動の中心で最大です。速さの最大値は、12mv2 = 12kA2 から求められます。

次の図は、ばねにつないだ台車の往復を、少しずつ時間を進めて止めて見るものです。中心と端で K と U がどうなるかを確かめます。

k = 10 N/m 1.0 kg v 自然の長さ x = 0 正の向き エネルギー [J] 運動エネルギー K 弾性力による位置エネルギー U 和

床はなめらかです。台車を x = +0.20 m まで引いて、静かに放しました。往復の途中を、周期 T の 1/8 ずつ止めて見ています(この図の周期は 2.0 s です)。

運動エネルギー K J 弾性力による位置エネルギー U J 和 J

やってみよう

放してからの時間 t を T/4 にしてください。台車は物差しのどこにいますか。K と U を読んでください。次に t を T/2 にして、台車の位置と K・U を読んでください。和はどうなっていますか。

分かること

t = T/4 では台車は振動の中心(x = 0)にいて、K = 0.200 J、U = 0.000 J です。t = T/2 では左の端(x = −0.20 m)にいて、K = 0.000 J、U = 0.200 J です。和はどちらも 0.200 J で、変わりません。

確認

同じばねと台車で、振幅を 2 倍にして放すと、和 12kA2 は何倍になりますか。

答え

4 倍です。A が 2 乗で入っているからです。

例題

なめらかな水平の床の上で、ばね定数 72 N/m のばねに質量 0.50 kg の物体をつなぎ、自然の長さから 0.10 m 引いて静かに放しました。物体の速さの最大値を求めなさい。

  1. 弾性力だけが仕事をするので、12mv2 + 12kx2 = 12kA2 が成り立ちます。振幅は A = 0.10 m です。
  2. 速さが最大になるのは振動の中心(x = 0)なので、12mv2 = 12kA2 です。
  3. 12kA2 = 12 × 72 × 0.102 = 0.36 J です。
  4. 12 × 0.50 × v2 = 0.36 から、v2 = 0.36 ÷ 0.25 = 1.44 です。
  5. 1.2 × 1.2 = 1.44 なので、v = 1.2 m/s です。

答え: 1.2 m/s

2鉛直のばね振り子のエネルギー

鉛直のばね振り子でも、つり合いの位置からの変位 x を使えば、12mv2 + 12kx2 = 12kA2 が成り立ちます。

ばね定数 98 N/m のばねの上の端を天井に固定し、質量 1.0 kg のおもりをつるします。おもりが止まる位置では、上向きの弾性力 kd と下向きの重力 mg がつり合っています(d はそのときのばねの伸び)。kd = mg から、d = 1.0 × 9.8 ÷ 98 = 0.10 m です。この位置を、つり合いの位置といいます。

おもりを下に引いて放すと、おもりはつり合いの位置を中心に上下に往復します(単振動)。周期は、水平のばね振り子と同じ T = 2π√m/k です。上を正の向きとし、おもりの位置を、つり合いの位置からの変位 x で表します。ここでは、おもりをつり合いの位置から 0.20 m 下げて、静かに放したとします。振幅は A = 0.20 m です。

天井からばね定数98ニュートン毎メートルのばねで1.0キログラムのおもりをつるした場面。自然の長さから0.10メートル下がつり合いの位置で、おもりはそこからさらに0.20メートル下げてある 自然の長さ つり合いの位置 1.0 kg 98 N/m ここで静かに放す 0.10 m 0.20 m 下げる 正の向き(上)

鉛直のばね振り子では、おもりが上下するので、重力による位置エネルギーも変わります。仕事をする力は重力と弾性力です。どちらも位置エネルギーで表せる力なので、運動エネルギーと2つの位置エネルギーの和は一定に保たれます。このことを、上のおもり(98 N/m、1.0 kg、A = 0.20 m)で確かめます。

運動エネルギーを K、重力による位置エネルギーを U重、弾性力による位置エネルギーを U弾 と書きます。右下の小さな字は、どの力の位置エネルギーかを表す印です。

U重 の基準面は、つり合いの位置にとります。上を正にしたので、つり合いの位置より x だけ上にいるとき、高さは x です。だから U重 = mgx です。つり合いの位置より下では、x が負なので U重 も負です。

U弾 は、自然の長さからの伸びで決まります。上を正にすると、伸びは d − x なので、U弾 = 12k(d − x)2 です。d − x が負のときは、ばねが縮んでいます。2 乗するので、縮んでいても U弾 は正です。

下の端(x = −0.20 m)、つり合いの位置(x = 0)、上の端(x = +0.20 m)の3か所で計算します。上の端では、伸びが d − x = 0.10 − 0.20 = −0.10 m で、ばねは自然の長さより 0.10 m 縮んでいます。端では、おもりは一瞬止まるので K = 0 です。

つり合いの位置は振動の中心なので、速さが最大です。単振動の速さの最大値は Aω です(ω = √k/m は角振動数)。ω = √98 ÷ 1.0 なので、v2 = A2ω2 = 0.202 × 98 = 3.92 です。K = 12 × 1.0 × 3.92 = 1.96 J です。

場所下の端つり合いの位置上の端
位置 x [m]−0.200+0.20
ばねの伸び d − x [m]0.300.10−0.10(0.10 縮み)
K [J]01.960
U重 = mgx [J]−1.960+1.96
U弾 = 12k(d − x)2 [J]4.410.490.49
和 [J]2.452.452.45

3か所とも、和は 2.45 J で同じです。足し算が合うことを見るため、この表では、1.96 J のような途中の値を丸めずに書きます。

次に、U重 + U弾 を、12kx2 と比べます。

場所下の端つり合いの位置上の端
U重 + U弾 [J]2.450.492.45
12kx2 [J]1.9601.96
差 [J]0.490.490.49

差は、どこでも 0.49 J です。U重 + U弾 は、12kx2 に、動いても変わらない 0.49 J を足したものになっています。

U重 + U弾 = mgx + 12k(d − x)2 です。(d − x)2 は (d − x) × (d − x) で、展開すると d2 − 2dx + x2 です。だから、12k(d − x)2 = 12kd2 − kdx + 12kx2 です。

U重 + U弾 = mgx + 12kd2 − kdx + 12kx2 です。つり合いの位置では kd = mg なので、mgx − kdx = 0 になり、消えます。残るのは U重 + U弾 = 12kx2 + 12kd2 です。

12kd2 は、ばね定数とつり合いの伸びだけで決まる値で、おもりが動いても変わりません(このおもりでは 12 × 98 × 0.102 = 0.49 J で、上の表の差と同じです)。

和が一定なので、K + 12kx2 + 12kd2 = 一定 です。12kd2 は変わらないので、K + 12kx2 も一定です。一定の値は、端(v = 0)での 12kA2 です。

12mv2 + 12kx2 = 12kA2
x はつり合いの位置からの変位

これは、水平のばね振り子(項目1)と同じ形です。

ここでの 12kx2 は、ばねの弾性力による位置エネルギー(12k × (自然の長さからの伸び)2)そのものではありません。重力による位置エネルギーの変化も、まとめて含んでいます。

次の図は、このおもりの往復を、少しずつ時間を進めて止めて見るものです。棒の組を「K・U重・U弾」と「K・12kx2」の2通りに切り替えて、どちらでも和が一定かを確かめます。

自然の長さ x = 0 つり合いの位置 k = 98 N/m x [m] 正の向き (上) 1.0 kg v
エネルギー [J] 運動エネルギーK 重力による位置エネルギーU重 弾性力による位置エネルギーU弾 和K + U重 + U弾 運動エネルギーK ½kx2(重力と弾性力の位置エネルギーをまとめた分) 和K + ½kx2

横から見た図です。上を正の向きとします。おもりを、つり合いの位置から 0.20 m 下げて、静かに放しました。往復の途中を、周期 T の 1/8 ずつ止めて見ています(この図の周期は 0.63 s です)。重力による位置エネルギーの基準面は、つり合いの位置です。

運動エネルギー K J U重 + U弾 J 和 J

やってみよう

「K・U重・U弾」のまま、放してからの時間 t を T/8 にしてください。おもりはつり合いの位置より上ですか、下ですか。U重 と U弾 の棒と、U重 + U弾 の値を見てください。次に t を 3T/8 にすると、U重 と U弾 の棒はどう変わりましたか。U重 + U弾 は T/8 のときと同じですか。最後に「K・12kx2」のボタンを押すと、T/8 と 3T/8 の K と 12kx2 はそれぞれ何 J ですか。

分かること

T/8 ではおもりはつり合いの位置より下(物差しの −0.10 と −0.15 の間)、3T/8 では上にいます。U重 と U弾 の棒の長さは2つの時間で大きく違いますが、U重 + U弾 はどちらも 1.47 J です。切り替えると、どちらの時間も K = 0.98 J、12kx2 = 0.98 J です。

確認

U重 の基準面をつり合いの位置にとったとき、おもりがつり合いの位置より下にいると、U重 は正ですか、負ですか。

答え

負です。基準面より下にいるからです(U重 = mgx で、x が負)。

例題

ばね定数 49 N/m のばねの上の端を天井に固定し、質量 1.0 kg のおもりをつるしました。おもりを、つり合いの位置から 0.12 m 下げて、静かに放しました。おもりの速さの最大値を求めなさい。重力加速度の大きさは 9.8 m/s² とします。

  1. おもりは、つり合いの位置を中心に単振動します。放した所が下の端なので、振幅は A = 0.12 m です。
  2. つり合いの位置からの変位 x を使うと、12mv2 + 12kx2 = 12kA2 が成り立ちます。
  3. 速さが最大になるのは振動の中心(x = 0)なので、12mv2 = 12kA2 です。
  4. 12kA2 = 12 × 49 × 0.122 = 0.3528 J です。
  5. 12 × 1.0 × v2 = 0.3528 から、v2 = 0.7056 です。0.84 × 0.84 = 0.7056 なので、v = 0.84 m/s です。

答え: 0.84 m/s

練習問題

重力加速度の大きさは 9.8 m/s² とします。空気の抵抗と摩擦は考えません。

パターン1 水平のばね振り子のエネルギー

問1なめらかな水平の床の上で、ばね定数 32 N/m のばねに質量 0.50 kg の物体をつなぎ、自然の長さから 0.25 m 引いて静かに放しました。物体の速さの最大値を求めなさい。

答えを見る

2.0 m/s

速さが最大になるのは振動の中心(x = 0)なので、12mv2 = 12kA2。12kA2 = 12 × 32 × 0.252 = 1.0 J。12 × 0.50 × v2 = 1.0 から v2 = 4.0、v = 2.0 m/s

問2なめらかな水平の床の上で、ばね定数 90 N/m のばねに質量 0.40 kg の物体をつなぎ、引いて静かに放しました。物体は、振動の中心を速さ 0.45 m/s で通りました。振幅を求めなさい。

答えを見る

0.030 m

振動の中心では x = 0 なので、12mv2 = 12kA2。12 × 0.40 × 0.452 = 0.0405 J。12 × 90 × A2 = 0.0405 から A2 = 0.0009、0.030 × 0.030 = 0.0009 なので A = 0.030 m

パターン2 鉛直のばね振り子のエネルギー

問3ばね定数 36 N/m のばねの上の端を天井に固定し、質量 0.25 kg のおもりをつるしました。おもりを、つり合いの位置から 0.050 m 下げて、静かに放しました。おもりの速さの最大値を求めなさい。

答えを見る

0.60 m/s

振幅は A = 0.050 m。つり合いの位置からの変位 x を使うと 12mv2 + 12kx2 = 12kA2 で、速さが最大になるのは x = 0。12kA2 = 12 × 36 × 0.0502 = 0.045 J。12 × 0.25 × v2 = 0.045 から v2 = 0.36、v = 0.60 m/s

問4ばね定数 40 N/m のばねの上の端を天井に固定し、質量 0.40 kg のおもりをつるしました。おもりを、つり合いの位置から 0.10 m 下げて、静かに放しました。おもりが、つり合いの位置より 0.060 m 上を通るときの速さを求めなさい。

答えを見る

0.80 m/s

上を正にすると、つり合いの位置より 0.060 m 上は x = +0.060 m。振幅は A = 0.10 m

12 × 0.40 × v2 + 12 × 40 × 0.0602 = 12 × 40 × 0.102

0.20 × v2 + 0.072 = 0.20 なので、0.20 × v2 = 0.128、v2 = 0.64、v = 0.80 m/s

x を 2 乗するので、つり合いの位置より 0.060 m 下(x = −0.060 m)を通るときも、同じ 0.80 m/s です。

つまずきやすいところ

まとめ

要点

エネルギー12mv2 + 12kx2 = 12kA2x は振動の中心からの変位、A は振幅です。
速さの最大振動の中心(x = 0)で 12mv2 = 12kA2
鉛直のばね振り子x を、つり合いの位置から測るそうすれば、1行目の式がそのまま使えます。
位置エネルギーU重 + U弾 = 12kx2 + 12kd2鉛直のばね振り子。d はつり合いの位置でのばねの伸びで、12kd2 は動いても変わりません。

物理 第4章 円運動と単振動

  1. 等速円運動
  2. 等速円運動(向心力)
  3. 慣性力と遠心力
  4. 鉛直面内の円運動
  5. 単振動
  6. 単振動(速度・加速度,復元力)
  7. ばね振り子と単振り子
  8. 単振動のエネルギー
  9. 単振動の応用
  10. 単振動の応用(2)

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